不気味さと美しさが融合した、前代未聞のビジュアルに驚愕

 筆者が本作の存在を知ったのは、ひと足先にゲーセンでプレイした友人から「スゴイ!」「カッコイイ!」と体験談を聞かされたのがきっかけだった。その後「Beep」だったか「マイコンBASICマガジン」だったか、ゲーム雑誌に掲載された本作の紹介記事を読んだところ、不気味な細胞や触手、まるで本当に燃えているかのように見える炎など、今までまったく見たことがない、美しい画面写真の数々に衝撃を受けた。

 学校が夏休みに入り、筆者は8月の初頭、たまたま家族で出掛けたデパートの屋上ゲーセンで初めて本作の実機に、確かアップライト型の専用筐体に出会った。早速プレイしたところ、「グラディウス」のパワーカプセルとは異なり、ビックバイパーはアイテムを取ることで即パワーアップするので「『グラディウス』よりも楽になったかも?」という印象を率直に受けた。

 特にサブウェポンにあたるミサイルと、自機と同じ攻撃性能を持つマルチプル(オプション)は、序盤で取り逃しても後からどんどん出現するので本当にありがたかった。また本作で新たに登場したリップルレーザーは、発射すると徐々にリング状に広がるのが実に新鮮な体験で、その独特の発射音と相まってただ撃ちまくるだけでもとても気持ち良かった。

 実機で見た画面は、雑誌の記事に載っていた写真よりも、はるかに色鮮やかであった。ステージ1の序盤から、赤い細胞のような外壁、次々と現れる触手、血痕のようなものが付着したキバなど、思わず目を背けたくなるほど不気味かつ美しい、そのビジュアルは特大のインパクトがあった。

 またステージ1の最終盤では、撃つと一定時間後に復元する細胞壁の内部に飛び込んでからしばらくの間、「巻き込まれてたまるか!」と汗だくになりながら必死にショットボタンを連射し、何とかボス戦までたどり着けたのは今でも忘れられない思い出だ。

不気味さ美しさを兼ね備えた、ステージ1の細胞と触手写真のキバも、思わず目を背けたくなるほど(良い意味で)気持ち悪かったステージ1の最終盤は、一定時間後に復元する細胞壁をひたすら撃ちまくって前に進む

 ステージ2、4、6の偶数ステージは、スクロールが横から縦に切り替わるのも、実に新鮮な体験だった。ステージ2から出現するレーザーのアイテムの回収に初めて成功したときは、元祖「グラディウス」よりも派手さを増したその軌跡と、敵をなぎ倒したときの爽快感に大いに感動した。

ステージ2に進むと、縦スクロールに向きが変わるのも新鮮な体験だったレーザーの迫力と、敵を一掃したときの爽快感の高さにも魅了された

 各ステージの最後に出現する、ボスキャラクターの迫力も凄まじかった。

 ステージ1のボス、ゴーレムは巨大な脳ミソに2本の触手が付いた、こちらも実にグロテスクな風貌で、ただ追い掛けてくるだけでもとにかく怖かった。ステージ2のテトランも、4本のアームを回転させながらビックバイパーをしつこく追い掛け回し、逃げ場が狭いこともあってその威圧感はハンパなかった。

ステージ1のボス、ゴーレムの不気味さも特大のインパクトがあったこちらはステージ2のボス、テトラン。4本のアームを時計回りに回転させつつ、弾もどんどん撃ってくるゲーム雑誌の攻略パターンに何度も助けられた思い出

 パワーアップの方法が簡単になったことで、攻略はスムーズに進むのかと思いきや、現実は決して甘くなかった。しばらく遊んでいるうちに、筆者は「グラディウス」とはまた違った形で、本作の難しさを嫌というほど実感した。

 その理由はズバリ、ミスした後の復活が困難であることと、エクステンド(1UP)がないことだった。

 本作ではミスをすると、リスタート時に「グラディウス」と同様にビックバイパーの装備は初期状態に戻る。装備していたマルチプルは、画面外にスクロールして消えるまでに回収すれば再び装着できるが、もし後方に下がっていた状態でミスをすると、リスタートするまでの間にすべてのマルチプルが消えてしまこともある。

 「グラディウス」をはじめ、筆者が今までに遊んだアクション、シューティングゲームのほとんどは、2万点や7万点を超えると自機のストックが増えるルールになっていた。ところが本作は、10万点取ろうが20万点取ろうが、ビックバイパーは1機たりとも増えない。なので「1回のミスが命取りになるぞ!」と毎回肝に銘じながらプレイしていたので、緊張感がほかのゲームで遊ぶときよりも比較にならないほど大きかった。

ミスをした後にリリースされたマルチプルは、画面外に消える前に回収すれば再び使用可能となる

 本作は数か月に一度のペースで遠征していたゲーセンにしかなかったこともあり、ゲーム雑誌の攻略記事には何度となく助けられた。

 例えば、ステージ4の中盤で大量に出現する隕石が筆者は大の苦手だったが、雑誌で特定のラインに合わせておけば絶対に当たらないと知ったときは、まさに目から鱗が落ちた。同じく、ステージ4のボスにあたる要塞は、壁に反射しながら飛び回る無数のブルーボールを放ち、避けるのが非常に難しくて毎回ミスをしていたが、ここでも安全地帯があることを記事を通じて知ったときには飛び上がるほど喜んだ。

 ほかにも、最終面となるステージ6に出現する強敵、ビッグコアの安全地帯も紹介され、実際に試したら「何でビックバイパーが死なないの!?」と、こちらもビックリしたことを今でも鮮明に記憶している。

ステージ4の要塞が放つブルーボールを、自力で避けるのは至難の業だったステージ6に出現するビッグコアは、一番上のラインにいれば触れてもミスにならないことにも驚かされた

 本作のラスボスにあたるゼロスフォースは、まったく攻撃を仕掛けてこないので簡単に倒せたが、最後のシャッターが次々と出現する脱出シーンではミスを繰り返し、エンディング目前で何度もゲームオーバーにさせられた。雑誌の攻略記事や、上手なお兄ちゃんの模範演技を何回見ても、この脱出パターンだけはマスターすることができなかった。

 その後、おそらく1988年頃に地元の駄菓子屋に本作が置かれ、1プレイ50円で手軽に遊べるようになったおかげで、筆者は1周クリアにやっとこさで初めて成功した。もっとも、そのときもシャッターはちゃんと避けられず、残機をつぶしながらのゴリ押しでどうにか抜けただけであったが(苦笑)、それでも初めて自力でエンディングに到達したときは本当に嬉しかった。

 余談になるが、後に自身がライターとして活動を始めたときは、本作を含めゲーム雑誌の記事に何度も助けられた原体験から「今度は、自分が読者を助ける番だ!」と、攻略記事の執筆を毎回任されるたびに肝に銘じていた(つもりである)。

最後の難関、スクロールのスピードが増すシャッター地帯にもさんざん苦しめられた本作独特のサウンドとボイスにも大感動

 本作の不気味なビジュアルとともに、ステージごとに異なるBGMと、敵を倒したときに鳴る破壊音などのSE(効果音)、そして特定の場面で流れる数々のボイスも衝撃だった。

 「グラディウス」とはまったく異なる音色とメロディ、軽快なリズムを奏で、まるで本物の楽器を鳴らしているかのようなパーカッションやベースの音色など、本作のBGMはどれも迫力満点で、一度聞いただけですぐに気に入った。

 後にアポロン音楽工業から発売された、本作のアルバム「オリジナル・サウンド・オブ沙羅曼蛇」のカセットテープ版を友人が購入すると筆者はすぐさま借り受け、毎夜宿題やテスト勉強をしながら数え切れないほど聞きまくったことも、今なお忘れられない思い出となった。

 ショットやミサイルの発射音のほか、敵を倒したり爆発したりすると鳴るSE(効果音)も実に個性的で、ゲーム以外のレコードやテレビ、ラジオ番組でも今までまったく聞いたことがない、その不思議な音色にも魅了された。特にステージ3のボス、イントルーダを倒したときの咆哮はすごい迫力で、またステージ4に出現するハッチや砲台の破壊音は「ガンダムの足音みたいでカッコイイ!」などと友人と話したことを今でもよく覚えている。

ステージ3のボス、イントルーダを倒したときの叫び声は物凄い迫力だった

 パワーアップアイテム出現時などに流れる、数々のボイスも特大のインパクトがあった。ボイスはすべて英語なので、筆者はパワーアップの名称以外の単語は全然聞き取れなかったが、プレイ中は味方の誰かと無線で交信しているかのような気分にさせてくれたのでとても感動した。

 特に驚いたのが、ボスが出現する直前に流れる「An intruder has penetrated our force field」という長いフレーズ。たとえ意味は分からなくても、こんなに長いセリフが流れるゲームは今まで遊んだことがなく、毎回プレイするたびにワクワクさせてくれた。ステージ6の終盤に差し掛かると、「Danger Danger」と繰り返し流れるボイスも、シンプルながらも緊張感を大いに高めてくれた。

ラスボスにあたる、ゼロスフォースの出現地点に接近すると「Danger Danger」とボイスが繰り返し流れる演出も素晴らしかった

 本作は、ハムスターのアーケードアーカイブスの1タイトルとして配信されているほか、Nintendo Switch、PS5、XBOX Series X|S、Steamで発売、配信中の「グラディウス オリジン コレクション」に収録されているので、今でも手軽に遊べる。

 アーケードアーカイブス版には、北米版の「LIFE FORCE(ライフフォース)」と、その逆輸入版にあたる国内版「LIFE FORCE」も収録している。「グラディウス オリジン コレクション」版にも北米、国内版の「LIFE FORCE」が収録されているほか、巻き戻しやクイックセーブ・ロードなどさまざまな便利機能を搭載し、好きなステージや場面を選んで繰り返し遊べるトレーニングモードも搭載されているので実にありがたい。

 かつてゲーセンで挫折してしまった人も、本作の存在を今まで知らなかった人も、ぜひこの機会に本作にチャレンジしてはいかがだろうか。

「グラディウス オリジン コレクション」のポーズメニューより。より快適に遊べるよう、さまざまな機能が搭載されている

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