東京ゲームショウ2026のビジネスソリューションコーナーでは、測量や地図など実在の地理空間情報(GIS)を扱う企業であるアジア航測やダイナミックマッププラットフォーム、静岡市などの自治体が存在感を放っていた。背景として、実際の地形や都市の測量データを、ゲーム開発のアセットとして活用する問い合わせが増えているという。
地形や都市の測量で得た実際の地形や建物のデータを、ゲーム開発に活用する動きが進んでいる
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3Dを含む地理空間情報(Geographic Information)は、防災や都市計画のほか、自動車やドローンなどの自動運転にも活用されている実測データだ。これらのデータは企業が所有する測量用の航空機や車両などで計測・撮影している。東京ゲームショウ2026(TGS2026)では、事業者が所有しているこれらのデータをゲーム開発に生かそうという出展が複数見られた。
ゲーム開発で地理空間情報の活用事例は増えている。有名なところでは米Epic Gamesの『フォートナイト』と自治体のコラボレーションで、ゲーム内で実在の観光地の3Dマップで遊べるといった取り組みがある。また、国土交通省が主導する3D都市モデル「PLATEAU(プラトー)」のオープンデータも、ゲームやXR(VR/AR/MR)の開発や映像制作の現場での活用が進んでいる。
測量データをゲーム用アセットに変換するアジア航測
アジア航測は、航空機による測量や空間情報の収集・解析を基盤に、防災やインフラ維持管理のコンサルティングを手掛ける企業だ。国土交通省の主導するPLATEAUにも、3D都市モデルの仕様検討やデータ整備で参画している。
TGS2026への出展のきっかけは、同社の地理空間情報をゲームに使いたいという相談が増えているものの、測量分野で一般的な点群データのままだとゲーム制作では扱いづらいという課題があったからだという。そこで、ゲームや映像で使いやすい3Dアセットに加工して提供する新規事業として「FIELD ASSET」を立ち上げた。
アジア航測(ホール9)のブース。出展は2026年9月17、18日のビジネスデイのみ
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レーザー測量の点群データと撮影データを用いて、色の付いた3Dモデルを制作する
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ブースのデモでは東京都の「早島」という新島の南方にある無人島を例に、測量データがゲームのフィールドになるまでの流れを紹介していた。点群データを立体化してテクスチャーを加えると、人型の3Dモデルが歩き回れるフィールドになる。都市や施設、島、海底まで、実在する場所をフィールドの土台にでき、制作の工数を減らせるとしている。
岩や海底にテクスチャーを加えて完成した「早島」のフィールド。人型の3Dモデルが歩き回れる
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これらのデータは法人だけに限らず、個人やインディーゲームの開発者に向けても提供するという。Epic Gamesのアセット販売サイト「Fab」などの活用を考えているとのことだ。
静岡市は地理空間情報を自治体プロモに活用
静岡市も地理空間情報の活用をアピールしている。静岡市はPLATEAUで市内の3D都市モデルを整備するなど、地理空間情報の活用に積極的な自治体だ。
ホール10の「静岡市クリエイティブベース」では、共同出展したA440(静岡市)が「街スキャン」を出展している。これは静岡市の駿府城といった観光地や町並みを360度カメラやドローンで3Dスキャンを行い、高繊細な3DGS(3D Gaussian Splatting)のデジタルデータとして取得したものだ。展示ではVRヘッドセットを用いて、3Dスキャンした観光地や町並みを見て回れる。こういった活用方法やデータの公開により、ゲームや映像制作の背景として静岡市の活用や作品の誘致につなげていきたいという。
静岡市クリエイティブベースのブース。画面は3Dスキャンした街の映像だ。VR(仮想現実)ヘッドセットで街を歩く体験を楽しめた
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「静岡の街を、そのままデジタル制作のフィールドに」と掲げ、3Dデータの活用をアピール
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自動運転向け道路データを活用
ダイナミックマッププラットフォーム(東京・渋谷)は、自動運転や先進運転支援システム(ADAS)に使う高精度3次元地図データ(HDマップ)の制作を手掛ける企業だ。当初は国内の自動車メーカー10社などが出資して設立された企業で、現在は日米欧など世界26カ国で合計180万km以上のデータをカバーしている。
ホール9のダイナミックマッププラットフォームのブース
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HDマップをゲームの開発ツールに取り込めば、車線や勾配、カーブの形状まで実在どおりの道路モデルの骨格を短時間で作れる。フランスのゲーム開発スタジオであるApex Studioは、オープンワールドのドライブゲーム『Apex Point』の開発に利用している。担当者によると、東京ゲームショウのブースではゲームのCG制作会社のほか、自動車メーカーや自治体からの問い合わせも多かったとのことだ。
ブースで上映していた高速道路の3Dモデル。車線や分岐の形状まで再現している
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ゲームでも実在の街を舞台にした作品のほか、TGS2026では業務用のシミュレーターとしてのゲームの活用事例が増えている。ゲーム開発で実在の地理空間情報を活用する動きは今後も広がりそうだ。
(文・写真/島 徹)
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