記事のポイント
UGCクリエイターはロブロックスやフォートナイト以外の仮想世界でも収益と影響力を拡大している。
若年層を中心にUGC体験が自然化しており、ブランドの関心も高まりを見せている。
一方で広告主には、仮想世界の確実な理解とIP使用といった課題への対応が求められる。
ロブロックス(Roblox)やフォートナイト(Fortnite)以外の仮想世界でも、クリエイターたちは大規模なオーディエンスと収入を築き始めている。そのことについて、広告主たちも注目し始めた。
過去2年間で、新たなタイプのクリエイターが登場している。それはユーザー生成コンテンツ(UGC)クリエイターであり、彼らの主戦場は音声、映像、テキストではなく、三次元のバーチャルアイテムや仮想世界だ。
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ロブロックス(Roblox)やフォートナイト(Fortnite)といったプラットフォームがこの潮流を牽引してきたのは間違いない。たとえばロブロックスは、2024年第4四半期にデジタルアバターやバーチャルワールドを公開したUGCクリエイターに対して2億8000万ドル(約434億円)を支払っている。広告主たちも近年、これらのUGCゲームプラットフォームに数百万ドル規模の投資を行っており、それによりこれらのプラットフォームは単なるビデオゲームから、フルサービスのクリエイタープラットフォームかつマーケティングチャネルへと進化している。
UGCが堅実な収益に
2025年には、UGCクリエイターたちがロブロックスやフォートナイトといった大手を離れ、より小規模なUGCプラットフォームでも成功を収め始めている。UGCミニゲームクリエイターのソイデード(Soydade)氏は、本名を非公開にしているが、UGCプラットフォーム「ハイライズ(Highrise)」上で約15万人のフォロワーを抱え、過去2年間でプラットフォーム内のバーチャルラウンジでポーカーゲームを有料で提供することで、30万ドル(約4650万円)以上を稼いでいる。
「ハイライズ(Highrise)全体として、プラットフォーム上でお金を稼ぐのは比較的容易だ。ルームへのエンゲージメントに応じて毎日ゴールドが得られる仕組みのため、プレイヤーが関心を持つ体験を作る動機がクリエイターにある」とソイデード氏は語る。「そのほかにも、仮想空間内での体験自体を収益化することも可能だ」。
もうひとりのUGCクリエイター、フランシスコ ・サンディ・モンターニョ氏は、人気サバイバルゲーム「アーク:サバイバル・エボルブド(Ark: Survival Evolved)」向けの「モッドパック」、すなわちスキンやそのほかの美的要素のアップデートを開発している。同氏は2024年9月にモッドパックの販売を開始し、現在ではそれらの作品で月間1万4000〜1万5000ドル(約217万円〜約232万円)の収入を得ている。
「今、累計で4000万回のダウンロードを超えたくらいだ。正直、クレイジーな数字だと思う」とモンターニョ氏は語る。「今では『アーク:サバイバル』のトップ10モッドのうち5~6本が自分の作品だ」。
若年層は自然に没入型体験へ参加する
クリエイターにオーディエンスがいるということはつまり、視線を集めるということだ。UGCプラットフォームの第2階層にクリエイターが定着するにつれ、広告主も自然とそれを追いかけている。そして、UGCオーディエンスはブランドにとって特に魅力的な存在となる。
たとえば、GEEIQ(ジーイク)の「2025年版ゲーム内ブランド状況レポート(State of Brands in Gaming)」によれば、昨年ロブロックス内に開設されたウォルマート(Walmart)ブランド体験に訪れたユーザーのうち、69%が18〜25歳であった。この層は、幼少期からロブロックスのようなメタバースプラットフォームで過ごしており、映像を観たり、ポッドキャストを聴いたりするのと同じように、没入型体験に自然に参加している。
2024年には、558のブランドがバーチャルワールド内で新たなアクティベーションを開始しており、そのうち370ブランドはUGCコンテンツと初めて連携したブランドであったと、同レポートは伝えている。ロブロックスやフォートナイトが依然としてこの分野の大半を占めてはいるものの、ゼペト(Zepeto)、ザ・サンドボックス(The Sandbox)、マインクラフト(Minecraft)といった代替UGCプラットフォームへの広告支出もこの1年で増加傾向にあるという。
ロブロックスやフォートナイト以外でも
メディアバイヤーも、ロブロックスやフォートナイト以外の仮想世界クリエイターに対するブランドの関心が高まっていることに同意している。ただし、現在のところ、こうしたコンテンツへの広告支出の多くは実験的段階にあり、大規模なメディア予算が解放されているわけではないと警鐘を鳴らす。
「ゲームを中心にしたUGCには、非常に大きな可能性があると思う。ただし、ブランド側にとっては課題もある。何を『購入している』のかの理解、そしてビルダー側のIP使用に関する懸念だ。たとえば、これらすべてのモッドが許可されているのか? これらのゲーム内で広告やインテグレーションを販売することは許されているのか?」と、ゲーミングマーケティングエージェンシーであるレヴエックスピー(REVXP)のSVP、クリス・マン氏は語る。「この点で、『オーバーウルフ(Overwolf)』のようなプラットフォームには非常に大きな価値がある」。
実際、ロブロックスとフォートナイトを超えたUGCコンテンツに対する広告主の関心が高まっていることをもっとも端的に示しているのは、オーバーウルフ(Overwolf)の広告事業の成長である。オーバーウルフは、バーチャルワールドやUGCクリエイターを中心に複数のゲーム関連事業を傘下に持つ企業で、モンターニョ氏がモッドを販売しているオンラインマーケットプレイス「カースフォージ(CurseForge)」も含まれている。
同社は2024年、アメリカ国内で4番目に訪問数の多いゲームプロパティとなった。この成長により、2024年4月から2025年4月の1年間で広告収益を15%増加させたとされており、ロブロックスやフォートナイト以外のUGCクリエイターに対する広告主の熱意が高まっていることがうかがえる。
「我々は常に、今日の飽和したメディア環境のなかで埋もれずに、顧客のオーディエンスに意外性のある瞬間でリーチする新たな手段を模索している」と、独立系フルサービスエージェンシーであるSCCのグローバルメディア部門エグゼクティブディレクター、ジャック・ヘネシー氏はこう語る。「カスタムの3Dワールド内における革新的な配置は、より『標準的な』ソーシャルフィードやデジタル領域に慣れすぎたミレニアル世代およびZ世代とつながるための好機となる」。
Alexander Lee(翻訳・編集:島田涼平)
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