Robloxの成長が止まらない。
先日発表された2025年度第1四半期決算では、毎日Robloxを遊ぶユーザー(DAU)が9,780万人と1億人に近づいてることが明らかになった。Robloxはクリエイターや企業がマルチプレイのオンラインゲームなどインタラクティブな3Dコンテンツを公開して、ユーザーが遊ぶ新時代のUGCプラットフォームだ。

Robloxは世界中で成長しており、特に最近は日本市場においても注目を集めている。上場もしたこと、企業の参入が相次いでいるのでビジネス的に注目される一方、Roblox自身はクリエイターを第一に掲げた非常にピュアな戦略をとっている。

「Roblox Studio」はRobloxにコンテンツを制作して公開するための専用開発ツールであり、クリエイターがアイデアを形にするための重要な基盤となっている。生成AIの活用なども盛んだ。
Mogura VRでは、2025年3月にサンフランシスコで開催されたGDC2025で、Roblox Studioを統括するステフ・コラッツォ氏にインタビューを行った。

Cube 3DでRobloxの3Dモデルは開かれる

コラッツォ氏:ステフ・コラッツォ氏:過去数年間でRoblox Studioを使用するクリエイター数は約2倍に増え、年間約1,500万のエクスペリエンスが公開されています。私たちは常にツールを改善し、Studioをより使いやすくしていく取り組みを続けています。日本は最も成長の速いコミュニティの一つなので、とても嬉しく思っています。
AIの活用について言えば、私たちは約2年前にアシスタントを立ち上げました。これはStudioを使用するクリエイターがコーディングや複雑な作業をせずに、単純なテキスト入力や様々な言語を使って多くのことができるようにするためのものです。
そして今年のGDCでは、3Dモデルを生成する基盤モデル「Cube 3D」を発表しました。私たちは将来的に4Dモデル、つまり単なる3Dではなくインタラクティブ性も備えたモデルの実現を目指しています。
ーー Cube 3Dはオープンソースで公開されました。Cube 3Dのオープンソース化は、何を意味するのでしょうか?
コラッツォ氏:私たちはモデルのウェイトとコードをオープンソースで公開したので、研究目的で誰でも自由に修正や再トレーニング、微調整ができます。また、Cube 3DをRoblox Studioとアシスタントに統合し、さらにゲーム内でも利用できるAPIを提供しています。これにより、開発者は自分のゲーム内でプレイヤーが新しい3Dモデルを作成できる機能を追加できます。

ーー Cube 3D以前は、Roblox Studioはクローズドなエコシステムでした。Cube 3D以降は、Robloxクリエイターがコンテンツを外部に持ち出せるようになるのでしょうか?
コラッツォ氏:Roblox Studioにもエクスポート機能があります。GLTFエクスポーターのベータ版がまもなく公開される予定です。これにより、Roblox Studioで作った3Dモデルを外部に出せるようになります。私たちはコンテンツをRoblox Studioに取り込む方法も提供したいと考えています。Robloxでゲームを公開するにはRoblox Studioを使う必要がありますが、一部のアセットをBlenderなどで修正して戻してくるユースケースも理解しています。そのためGLTFエクスポートも提供しています。GLTFインポートはすでに対応済みで、BlenderとRoblox Studio間のワークフローを実現しています。
ーー Cube 3D自体はgltf形式と互換性があるのですね。
コラッツォ氏:Cube 3DがStudioで生成するメッシュはgltfでエクスポートすることができます。

AIが加速するRobloxのコンテンツ開発

コラッツォ氏は、実際にRoblox Studioのユーザーインターフェースを見せながら、Cube 3Dを使い、テキストでエクスペリエンスのインタラクションを設定して見せた。
(「ヘルメットを被ったモグラ」を出力してもらって編集しているところ)
コラッツォ氏:まず3Dモデル生成と、アシスタントがゲームプレイを生成する方法をお見せします。これが私のゲームで、近くにエイリアンの生き物がいますが、動いていません。ゲームプレイがないので、ただモデルがあるだけです。ここにゲームプレイを追加します。
「エイリアンにプレイヤーに向かって火の効果付きの火の玉を撃たせる」と入力します。
アシスタントがコードを生成し、それが適用されました。スクリプトを作成してそこに配置できます。プレイしてみましょう。これは非常に単純な例です。もっと改良しましょう。「1秒に1回の火の玉を連続して発射する」と指示します。コードの一部が変更され、2秒から1秒に待機時間が変更されました。
次に、「一番近いプレイヤーを追いかける」という機能も追加してみましょう。「最も近いプレイヤーを追いかける、プレイヤーが50スタット以内にいる場合」と入力します。単純なテキスト指示で、これは日本語や韓国語など他の言語でも機能します。コードが生成され、スクリプトが自動的に追加されました。これを受け入れると、エイリアンが私を追いかけるようになりました。
次に、プレイヤーがエイリアンから逃げるのを助けるためにバイクを追加します。「バイクを追加」と入力すると、バイクがクリエイターストアから取得されます。バイクが追加されましたが、これはクリエイターマーケットプレイスから取得したものです。
ゼロから何かを生成することもできます。Cube 3Dのデモに戻って、「ビンテージバイク」を生成してみましょう。クリエイターストアにビンテージバイクがあるかもしれませんが、代わりにゼロから生成します。まずCubeがメッシュを生成し、次にテクスチャも生成されます。その後、それを私のシーンに追加できます。
ーー 家を生成できますか?
コラッツォ氏:アシスタントの一部として実装されています。アシスタントは一般公開され、ベータ版ではなくなっています。このボタンをクリックするとこのウィンドウが開きます。家のモデルが作られています。テクスチャが適用されるのを待っています。
ーー とても速いですね。1分以内に生成されています。これはクライアントPCで処理されるのですか?クラウド上ですか?
コラッツォ氏:クラウド上で処理しています。この機能はベータ版なので、もっと速くなる予定です。目標は数秒で何かを生成することです。家のサイズを変更することもできます。
ーー クリエイターはアセットストアでAIで生成したモデルを販売できますか?
コラッツォ氏:現在、クリエイターストアのすべてのモデルは無料です。将来的には、AIによって生成されたものでも課金対象にするかどうかは、まだ検討中の複雑な問題です。

(Cube 3Dで出力された家、ビンテージバイク、もぐらの3ショット)

グラフィッククオリティ向上は着実に進む

ーー Robloxでのハイクオリティなグラフィックを追求し、ゲームプレイも複雑ないわゆる“より本格的なゲーム”の制作について教えて下さい。2、3年前は、クリエイターが「FRONTLINES(最前線)」のようなコンソールゲームレベルのコンテンツを作れることを強調していましたが、2024年9月のRDCではこの情報が少なかったです。この機能の進化はどうなっていますか?
コラッツォ氏:着実に進化しています。PBR素材のサポートをアバターアクセサリーにも拡張し、PBRシェーディングシステムを完成させました。これによりフォトリアリスティックな表現が可能になり、照明モデルも常に改善しています。
将来的には、クリエイターが高解像度モデルをアップロードできるようにして、高性能なデバイスでは現在の1K解像度の制限を超えた高解像度表示を可能にする予定です。近いうちに素晴らしい発表ができると思います。
ーーRobloxのバックエンドシステムとして、デバイスのスペックや通信環境に応じて自動的にコンテンツの最適化を行う「Harmony」システムがあります。Harmonyは主に既存のRobloxのゲームを低スペックのスマートフォンで遊べるようにすることに焦点を当て、Robloxのユーザーベースを拡大するものだと聞きました。一方で、Harmonyはハイクオリティなコンテンツを色々なデバイスで遊べるようにもする可能性がありますよね。
コラッツォ氏:Harmonyは将来的に両方向に対応できます。低スペックのAndroidデバイスでは忠実度を下げる一方、高性能デスクトップマシンではより高忠実度の体験を提供できるようになります。
サマンサ・スピルマン氏(同席していたRoblox広報担当者):人気IPである「スポンジボブ」をテーマにした「SpongeBob Tower Defense」のクリエイターは、スポンジボブのIPを尊重して非常に詳細に、アニメそのものの見た目にすることが彼らにとって重要でした。彼らは基本的にPlayStation、Xbox、VRを念頭に置いてデザインし、このブランドをよく知る20代や30代の年配のプレイヤーもターゲットにしていました。Harmonyを使えば、このようなこだわった高品質ゲームをRobloxで遊ぶあらゆる場所に持っていくことができます。
コラッツォ氏:最初のステップは、クリエイターのコンテンツを非常に高品質でインポートし、クラウドに高品質で保存できるようにすることです。そうすれば、いつでもそのコンテンツを各デバイスの処理能力に合わせて提供することができるようになりますから。

Robloxのクリエイターは多様化している

ーー 開発者エコシステムに関して、Robloxのクリエイターエコシステムは変化しているように見えます。Gamefamは拡大し、Voldexは(Robloxで600億アクセス以上と最多のアクセス数を誇る)Brookhaven Studioを買収しました。一方で、人気のあるエクスペリエンスの中には、依然として1人のクリエイターが管理しているものもあります。この状況の変化をどう捉えていますか?また、日本ではいくつかの企業がクリエイター個人ではなく会社としてスタジオを設立しています。
コラッツォ氏:私たちは幅広いスペクトル(※クリエイターのあり方が多様である様子)を見ています。1人で構築された超人気ゲームもあれば、100人規模のスタジオが開発しているケースもあります。VCから資金調達してrRoblox向けに開発しているスタジオもあります。Robloxは機会の場であり、AAAゲームのように大勢の開発者は必要ないのが魅力です。優れたアイデアと技術があれば、素晴らしいものを作り、アテンションを集めることができます。Studioを使いやすくしAIでサポートしていることも、この(あらゆる機会を提供するという)方向性に沿っています。
クリエイターたちがRobloxで開発する主な理由は、第一に楽しいからです。次に収益化です。収益化は成長しており、より多くのクリエイターが稼げるようになっています。私たちもアナリティクスで提供する情報を充実させ、価格最適化をサポートすることを通じて、彼らのゲームをより成功させ、収益性を高めることを支援しています。

ーー 第一の優先事項は楽しいことなのですね。
コラッツォ氏:私たちのクリエイターベースにとって、楽しさが最大の原動力です。
企業には企業の戦い方がある

ーー クリエイターにとって、プラットフォームの収益性もまた重要です。トップ10やトップ100のクリエイターの例はよく紹介されますが、まだRobloxエコシステムに参入していない初心者や開発者にとっては「私たちも同じことができるか?」「どれくらい稼げるか?」に関心があります。トップ層ではないロングテールの開発者層を考えたときに何か言えることはありますか?
コラッツォ氏:UnityやUnreal EngineからRobloxに切り替える開発者には大きなアドバンテージがあります。Robloxでは一度開発すれば、モバイル、デスクトップ、VR、コンソールなど、あらゆるデバイスに展開できます。他のプラットフォームでは各プラットフォーム向けにビルドを作成し、個別のアプリストアに提出する必要がありますが、Robloxでは全てのプラットフォームに数秒で公開でき、必要なアプリストアに自動的に配信されます。
第二の大きな価値は、すべてのゲームがデフォルトでマルチプレイヤーであり、マッチメイキングなどのインフラが最初から組み込まれていることです。これにより、一人の開発者でもグローバルに展開し、数百万人のプレイヤーが参加する成功したゲームを作れます。他のエンジンでは高価なバックエンドインフラを用意する必要がありますが、Robloxでは無料で提供されます。アイデアをテストし、デプロイして改善するコストが非常に低いため、魅力的なのです。
ーー 日本では企業がRobloxに参入し始めています。モバイルゲーム会社やコンソールゲーム会社などがRoblox開発に移行する例も出てきています。個人開発者は時にお金を気にする必要がなく、楽しみのために試し、後で収益化できます。一方で、企業は、エンジニアなどの人的コストを最初から背負っています。コンテンツを他のプラットフォームより簡単に作れても、人的コストを考慮する必要があり、企業は個人に比べると気楽に取り組めない事情もあります。参入する企業へのアドバイスはありますか?
コラッツォ氏:改善サイクルを回すことです。ゲーム開発に慣れている会社はずっと早く改善できるはずです。6ヶ月かけて1つのゲームを作る代わりに、1ヶ月で5つや10のプレイアブルデモを作成し、デプロイして分析し、どれが人気かを測定して改善できます。市場投入のスピードという点では、個人開発者と同様に大きな機会があります。個人開発者の中には2年かけてゲームを開発し、その過程でゲーム開発のプロセスそのものを学んだ人もいます。一方、企業はすでに組織力がありますが、Robloxで何が通用するかを学ぶ必要があります。文化的には他のプラットフォームと違うかもしれませんが、組織として戦う筋力はすでに持っています。
ーー Robloxのプラットフォームはあらゆるアプローチを受け入れているからこそ、作ることを楽しみながらそれぞれの強みを活かしていくべき、ということですね。本日はありがとうございました。

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