2025年11月15日、銀座の大通りに面するesports 銀座 studioにてIndie Developers Conference 2025が開催された。同カンファレンスは、『インディーゲームが「作品」であり続けるために。』という理念に基づいて、オリジナルのゲーム作品を個人~少人数チームで制作している開発者の活動を多方面から支援するためのカンファレンスとなっている。

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IDCの発足は4年前。 IDC実行委員会はヘッドハイ、アクティブゲーミングメディア 、産経デジタルの3社によって構成されている。「IDCの大きな理念として、パブリッシャーにもメディアにも寄り過ぎず、開発者にとって役に立つ情報を提供することを心がけています」と語ったのは、実行委員会のメンバーであるヘッドハイの一條氏だ。さまざまなインディーゲーム開発者向けのコンテストやパブリッシャーが立ち上がって業界全体が盛り上がっていくなかで、開発者に必要な技術やマーケティング、パブリッシングの知識や法的知識の共有ができる場の必要性を感じ、始まったのがIDCなのだという。

Indie Developers Conferenceロゴ。
Indie Developers Conferenceロゴ。

イベント会場は講演用の2つのホールと交流用のスペースによって構成されており、さまざまなゲストによる9つの講演が一日のうちに行われる。講演の内容は『ElecHead』や『Öoo』の開発者である生高橋氏によるそのものずばり「Öooのつくりかた」や、墓場文庫のグラフィッカー、デザイナーであるハフハフ・おでーん氏と墓場文庫のプログラマーであるモチキン氏による「『都市伝説解体センター』ポストモーテム」といったもの。ゲーム開発プロセスにおいて、知りたいけれどどこで調べればいいのかわからない、そしてなかなか聞くことのない実践的な、クリエイターの生の声を聞く貴重な機会となっていた。

加えて、IDCはゲームを作るプロセス以外の悩みについてをフォローする講演も充実している。たとえば講談社 第四事業本部クリエイターズラボ ゲームラボ総合チーフの片山裕貴氏とroom6代表取締役の木村征史氏、そしてPLAYISMの水谷 俊次氏による「パブリッシャーはインディーゲームのどこを見て契約を決めるのか?座談会」などは、現在、インディーゲームの開発に邁進しながらも、魂を込めて作り上げた作品をどのように売り出せばいいのか、より多くのユーザーに届けるにはどうすればいいかなど、クリエイターがゲームを完成させた後の悩みに応えるものだ。

ちなみにIGN JAPAN編集長の千葉も「メディア座談会『メディアが掲載したくなる、あなたのゲームの魅力を伸ばすには』」というテーマでKADOKAWA Game Linkage ファミ通.com 編集長の三代川正氏ら5人のゲームメディア編集者と登壇した。同セッションはesports 銀座 studio1階にあるカフェスペースで行われたが、立ち見も出るほどの人気ぶり。実際の事例や各媒体の特色を説明しつつ、メディアの立場から得られた知見をもとに見解を述べた。聴講者にとってはやはりリリース送付のタイミングや内容が気になるようで、Q&Aのコーナーでもリリースに関して具体的な質問が飛び交っていた。

【ゲーム業界関係者向け】IDCでお話したメディア視点のプレスリリース、イベントでのゲームの探し方

Indie Developers Conference 2025の
「メディアが掲載したくなる、あなたのゲームの魅力を伸ばすには」に参加させていただきました(楽しかった!)。…
— 世界三大三代川@ファミ通 (@tad_miyo) November 15, 2025

以上のように、パブリッシャーへのアピールはどうすればいいのか、メディアへの宣伝は何が効果的なのか……など、一口にインディーゲーム開発といっても、実際に世に出すにあたっては考慮すべき無数の要素が存在する。IDCはそういったクリエイターの多様な悩みに応えるものでもある。

「過去にはゲーム内に使用してもよい素材についてなど、著作権についての知識を弁護士の先生をお呼びして解説していただいたり、ゲームが人気になって映像など多メディアへの展開に発展した場合にはどういうことが起こるのかなどについてお話ししていただいたこともあります。現在はインディーゲーム作りに関する情報も増え、高額な情報料を要求するいわゆる情報商材的なビジネスも散見されるようになりました。そういった状況にあって、インディーゲームを作るクリエイターがフラットに有益な情報に触れられるように、オープンな形で情報を提供していくというのがIDCのモチベーションのひとつになっています」と一條氏は語った。

また、会場中央は開発者らが名刺交換や情報共有を行う交流スペースが設けられており、講演の合間には活発な情報交換が行われていた。交流スペースにはパブリッシャーの出展ブースもあり、IDCではそういったパブリッシャーへの持ち込みも推奨している。

毎年のように大ヒットインディーゲームが生まれる昨今、投資家が出資先としてインディーゲームを選ぶシチュエーションも増えている。起業家が投資家の前でプレゼンを行い、出資を募るピッチというイベントがインディーゲームの分野でも世界的に行われるようになりつつあるが、IDCではオープンなパブリッシャーブースのほかにミーティングルームを用意し、希望者は個別のピッチを行えるようにもしているという。クローズドな場で契約条件などについて具体的なミーティングができるこういった場は、日本ではまだまだ非常に貴重なものだ。

「IDCは、クリエイターさんとパブリッシャーさんのつながりが生まれることも目指しています。(ブースとして出展している)スポンサーとなっているパブリッシャーさんはもちろん、一般でいらっしゃっているパブリシャーさんにも、どんどん自分のゲームを持ち込みをしてアピールをしていただきたいと思っています。実際に、IDCで得た関係性からパブリッシャーが決まった事例をいくつも見ています。アジアやヨーロッパでは、パブリッシャー向けにピッチの機会を設けて直接プレゼンをする、自分の作品を直接アピールする場は一般的ですが、そのような形でのアピールが可能であり、大きなチャンスにもなるということにまだ実感がないクリエイターさんがまだまだ多い印象です。日本のインディーゲームはアイディアやクオリティなどの面からも非常に素晴らしい作品がたくさんありますから、そういった(アピールのための)施策が身近にあることを知っていただければと思っています」

ハムスターっぽい兵器が活躍する防衛ゲーム『MOCHI-O』をプレイしている様子。
ハムスターっぽい兵器が活躍する防衛ゲーム『MOCHI-O』をプレイしている様子。

ちなみに交流スペースにあるドスパラのブースでは、最新の高性能ゲーミングPCが展示されていた。RTX 5090を積んだデスクトップの実機も触ることができ、ついつい興奮してしまった。用意された展示PCでは、IDCのパートナーのひとつである講談社クリエイターズラボから2026年に配信予定の『わびさび寿司ダービー』などが試遊できた。

パブリッシャーだけでなく、インディーゲームに関わる幅広いスポンサーが集うIDC。インディ―ゲーム開発をするすべての人たちをサポートするイベントとして、今後も一層の発展が期待できそうだ。

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