ビデオゲームのおもしろさのひとつに「空間をどのように埋めるか」というものがある。私の2025年のベストゲームであった『真・三國無双 ORIGINS』では凄まじい数の兵士で満たされた戦場に、激戦や鼓舞、窮地の伝令なんかがやってきて私の心は何度もわいた。

2025年にプレイした私のベストゲームを以下に示す。

『真・三國無双 ORIGINS』
『RoadCraft』
『REMATCH』
『SILENT HILL f』
『The Rise of the Golden Idol』
『Type Help』
『NINJA GAIDEN 4』
『The Stone of Madness』
『SHINOBI 復讐の斬撃』
『萬手一体』

空間には等しく同じようなものが入っていると退屈になりがちだが、『REMATCH』ならピッチ上に転がるチャンスには大小があって判断が重要になるし、『SILENT HILL f』ならループなども起こる現実離れした異世界が新たな刺激を生み出す。『真・三國無双 ORIGINS』は時間の埋め方も心地よく、緩急がさまざまに配置されていて、飽きないような設計が施されていた。優れたゲームには優れた緩急がある。

現代ゲームの人気要素「パリィ」は『真・三國無双 ORIGINS』では「弾き返し」として登場。特に手甲のモーションが好きだった。画像は片足立ちのモーションが美しい、手甲の弾き返し。
現代ゲームの人気要素「パリィ」は『真・三國無双 ORIGINS』では「弾き返し」として登場。特に手甲のモーションが好きだった。画像は片足立ちのモーションが美しい、手甲の弾き返し。

サッカーのおもしろさを知らない私に、サッカーのおもしろさを教えてくれた『REMATCH』。画像は自らシュートを決めるところ。
サッカーのおもしろさを知らない私に、サッカーのおもしろさを教えてくれた『REMATCH』。画像は自らシュートを決めるところ。

『The Rise of the Golden Idol』や『Type Help』はテキストを組み合わせて謎を解いていく推理パズルゲームだ。三次元空間の代わりに、プレイヤーの認知する空間はテキストとロジックがぎっしり詰まっている。プレイヤーは与えられた情報、あるいは与えられていない情報をロジックで結びつけて、正答を探し出す。

こうした推理ゲームにもやはり緩急がある。論理のほころび(先の2作では「正しい結び目を探す」と言ったほうが適切だとは思う)を見つけたときの変化には大小があって、時折プレイヤーの認知できる内容がググッと広がる瞬間や物語としてのうねりが配置されているのだ。この一瞬に至るために、目を皿にして状況を読み解いていると言っても過言ではない。

怪しい人々、怪しい文字、怪しい組織と怪しいものづくしの『The Rise of the Golden Idol』。画像は怪しげなおばさんがタバコを吸いながらぼやいている場面。
怪しい人々、怪しい文字、怪しい組織と怪しいものづくしの『The Rise of the Golden Idol』。

緩急のない平板さと比較すると、緩急の生み出す盛り上がりは相対的に語られることが少ない。特に物語が絡まない場合は顕著ではないかと思う。そういった理由もあって『真・三國無双 ORIGINS』のレビューではこのことを強調して書いた。そして皮肉なことに2番目のゲームとして挙げた『RoadCraft』は緩急自体が比較的少なく、のんびりしたゲームのように思う。

ここまで書いてきたようにビデオゲームでは巧みに配置された緩急がプレイヤーを興奮・熱狂させる。そうして熱くなった心を穏やかにするのが、私の場合は『RoadCraft』の与えてくれる作業的な心地良さだったのかもしれない。言うなれば私のゲームライフには「緩のゲーム」と「急のゲーム」とが必要なのだ。

とはいえ、緩のゲームである『RoadCraft』でも何も考えずに無茶をするたび、急なアクシデントがたまに起こる。画像はクレーンが危ない角度で前輪が浮いている場面。
とはいえ、緩のゲームである『RoadCraft』でも何も考えずに無茶をするたび、急なアクシデントがたまに起こる。

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