今回紹介するのはカプコンより2月27日発売のプレイステーション 5/Xbox Series X|S/Nintendo Switch 2/PC用サバイバルホラーゲーム「バイオハザード レクイエム」だ。

 本作はシリーズのナンバリング第9作に相当する最新作で、「バイオハザード」シリーズが持つ“ホラー要素”と“アクション性”の2大要素を新たな手法で存分に楽しめるタイトルとなっている。

 シリーズ内でも人気の高い「レオン」の再登場や、物語発端の地でもある「ラクーンシティ」に再びスポットライトが当たるなど、シリーズファンとしては非常に気になるストーリーが大きな注目を集めている。

 今回はそんな本作を一足早くプレイできたので、ゲーム序盤に訪れるマップ「療養所」までのゲーム体験をベースに魅力を伝えていこう。

【『BIOHAZARD requiem』 4th Trailer】

「グレース」と「レオン」の2つの視点で描かれる物語

 本作はFBI分析官の「グレース・アッシュクロフト(以下:グレース)」と、シリーズではお馴染みとなった最強エージェントの一人「レオン・S・ケネディ(以下:レオン)」の2人の視点で物語を歩むことになる。

 初登場となる「グレース」は歴代シリーズのキャラクターの中でもトップクラスに内向的で少し頼りない女性として描かれるシーンが多く、操作するプレーヤーと共に恐怖を背負ってくれる存在だ。

 廃ホテルで起こった変死事件の調査に赴いた彼女は、その容疑者である「ヴィクター・ギデオン(以下:ヴィクター)」に捕まってしまい恐怖の世界に引きずり込まれてしまう。

 過去に母親を失った際の出来事や、「ヴィクター」から(色んな意味で)丁重な扱いを受けている点から彼女自身にも多くの謎が隠されており、ストーリーのキーパーソンとなっている。

【グレース・アッシュクロフト】

主人公の一人「グレース」。本作のホラー要素を担う存在となっている

【ヴィクター・ギデオン】

連続変死事件の容疑者「ヴィクター」。かつてはアンブレラでt-ウィルスを研究していたとのこと

 もう一人の主人公「レオン」は「バイオハザード2」、「バイオハザード4」、「バイオハザード6」などでも大活躍したシリーズではお馴染みのキャラクターだ。ナンバリング9作目にもなったことで見た目も渋いイケオジに成長し、死線を潜り抜けてきたベテランエージェントの腕前でプレーヤーを安心させてくれる。

 本作では対バイオテロ組織「DSO」に所属するエージェントとして連続変死事件の調査に赴き、「ヴィクター」を追う形で「グレース」と出会い、物語に関与していく。物語序盤から自身も“何らかのウィルス”に感染している様子が見られ、先行きが不安になる要素をプレーヤーにチラつかせてくる。

 シリーズファンとしては色々と女運の悪いレオンがまた女性と関わっていることにも注目だ……!

【レオン・S・ケネディ】

レオンと言えば時折出る軽口!今作でもクールにキメてくれる場面が多い何らかのウイルスが発症している様子のレオンラクーンシティと関連があるということは……

 本作の物語は「グレース」と「レオン」の2人の視点が物語の中で交互に入れ替わり、時として交差する展開が「バイオハザード」シリーズらしいライブ感を生み出していた。

 ゲーム体験としては、「レオン」が「グレース」に武器を渡すことで「グレース」側のアクションが強化されたり、「グレース」が敵に囲まれているところを狙撃アクションで「レオン」が助けるといった展開があるなど、ダブル主人公要素を全面に押し出したドラマティックな遊びが数多く見られる。

 この2人の歩みが最終的にどのような終幕に繋がっているのか、“レクイエム(鎮魂歌)”という少し不穏なタイトルの意味はどこで回収されるのか、先の展開が気になり、期待を膨らませながら物語を追えるだろう。

本作の名を冠する最強武器のひとつ「レクイエム」をグレースに手渡すレオンひ弱なグレースパートにおいて多くのピンチを救ってくれる存在となる襲われるグレースを狙撃で援護するシチュエーションも! シリーズ屈指の実力者であるレオンの強さを存分に体感できるぞホラーのグレースとアクションのレオン。「バイオ」の二面性をそれぞれの主人公で体験

 本作では、各主人公のゲーム体験を大きく変えることで、「バイオハザード」が持つ“恐怖”と“アクション”という2大要素をどちらも尖らせることに成功している。

 具体的には、ホラー要素や謎解き、探索は主にグレース視点で行ない、敵を爽快にぶっ飛ばすアクション要素はレオン視点に任せている。シリーズ内でアクション要素が強めの作品もあれば、ホラー演出が強めの作品もあったが、その両要素を上手く取り入れた形が本作のダブル主人公なのだ。

【謎解き・探索がメインのグレース視点】

【アクションメインのレオン視点】

 ホラー要素を全面に押し出したグレース視点では、撃退方法が限られる中で敵から逃げつつ広大なマップを探索する地獄のような恐怖体験を味わえる。物語のキーパーソンながら基本的には事件に巻き込まれたキャラクターなので、今作でかわいそうな目に遭うのは常に彼女となる。

 恐怖レベルで言えば「バイオハザード7 レジデント イービル」の感覚に近かったのだが、あちらは主人公の「イーサン」が“何だかんだで丈夫”だったことで安心感がある一方、今作のグレースは作中で常に“弱い存在”として描かれるため不安感が全く拭えない。

 グレースが歩くたびに漏らす弱音や息遣いの1つ1つがプレーヤーの緊張感を高め、敵と遭遇してしまった時の絶望感をより一層際立たせてくれるのも良かった。

ホラーシーンでは弱音を吐く場面も多いのでプレーヤーも一緒に不安になってしまう……!

 しかしながら、グレース視点でも非力ながら敵に対して抵抗するアクションがいくつか用意されている。

 敵に捕まった際に振りほどける「ナイフ」や「ハンドガン」を用いての戦闘が一応可能なのだが、動きが全体的に弱弱しい。レオンと違い、特殊なアイテムや武器を使用しない限りは追跡してくる敵を“倒す”ことは難しく、基本は“撃退”する形で対処していくのだ。

 そのため、基本的には“逃げる”ことを主題として謎解きを行なうのだが、こちらが非戦闘キャラクターであることなどお構いなしに、頻繁に大量の敵が登場するので、常に緊張感を持った状態でゲームを楽しめた。

グレースでも銃撃から体術を使うアクションは可能だが、敵を突き飛ばして時間を稼ぐほどの効果しかない徹底的に戦おうとするとあっという間にジリ貧になる

 その上でグレース視点で重要となるのが“限られた物資でのやりくり”だ。入手できるアイテムに限りがあるだけでなく、同時に持ち運べるアイテムも少なく設定されているため頻繁にアイテムボックスに立ち寄りアイテム整理を行なう必要がある。

 ただでさえ非力なのに所持アイテムまで限られており、それが恐怖感を増幅させており「安全のためにはこの武器は持っておきたい……でも謎解きにはこのアイテムが必要だし……」といった葛藤が常に頭の中で渦まいていた。

【アイテムボックス/アイテムポーチ】

扉を開くために必要なアイテムも当然1つのアイテムとして換算されるので、頻繁にアイテム欄はパンパンになっていた

 またグレース視点では感染者の「血」を採取することで弾丸や回復アイテムを生み出す「クラフト」という要素が用意されている。

 マップの各所や倒した敵の血だまりから採取した血液をクラフトでアイテムに変換できるため、探索をすればするほど有利になる要素ではあるのだが、探索を行なうにもアイテムが必要なので結果的に損する場合もあるのが面白いところ。

 加えてクラフト用の素材もアイテムスペースを圧迫するため常に持ち歩くのは難しい上に、資源の絶対量が決まっている中で何を優先して作るかはプレーヤーの采配次第。非常にやり応えのあるシステムとなっていた。

 筆者はストロングスタイルでゲームを進めたかったので基本的には「ハンドガンの弾」を作りまくっていたが、安全に進みたい場合は回復アイテムを優先してもいいし、テクニカルなプレーヤーは、隙を突くことで敵を一撃で葬れる「凝血アンプル」を優先するのも面白いだろう。

素材と血液さえ揃っていればどこでもクラフト可能クラフトできる種類はマップに設置された「レーザー顕微鏡」に「血液検体」を持って行くことで増やせる

 グレース視点は総じて“巻き込まれてしまった非戦闘員が生き残る”といったゲーム体験なのでサバイバルホラーらしい恐怖体験をしっかり味わえた。

 特に「絶対この先なんかある」と思わせるロケーションや空気感を生み出すのが巧みで、ジャンプスケア的な要素だけでなく“わかっていても怖い”と感じさせる場面が数多く存在したのがグッドだ。

 詳しいストーリーは紹介できないが、盲目の少女「エミリー」と出会うことでグレースのたくましい一面を見せる場面も増え、恐怖に立ち向かう強い女性として描かれていく。プレイを進めるたびに非常に愛着の持てるキャラクターに変化していった。

 2人の関係性がどのように変化するのか、グレースがどのような成長を見せるのかはぜひプレイして確かめてほしい。

【謎の少女エミリーと行動を共にするグレース】

 打って変わってレオンパートでは、「バイオハザード」シリーズが持つ爽快なガンアクション要素を存分に堪能できる作りとなっている。システムとしては、2023年3月に発売されたリメイク作品「BIOHAZARD RE:4」を彷彿とさせる。グレースとは動きの機敏さも異なり、遭遇する敵を跡形もなく殲滅できる。

 特にグレース視点では絶対に倒せなかった敵をレオン視点ではしっかり倒すことができるパターンも多く、ここまでのお返しと言わんばかりに弾丸をぶち込める体験は今までのシリーズにはないカタルシスとなっていた。

グレースでは太刀打ちできなかった相手をトマホークで叩き割るレオン。流石すぎる……!

 今作のレオンで注目したいのが近接武器に「トマホーク」が選ばれている点だ。これまでシリーズ作品では華麗なナイフアクションを見せていた彼だが、今作ではその手の部族ばりに豪快な近接アクションを可能としている。

 この武器は戦闘だけでなく探索でも役に立ち、グレース視点では開けなかった頑丈なロッカーなどをこじ開ける際にも利用されるので役割は多めだ。

 また銃弾で相手を怯ませてから近接格闘アクションをする流れも健在で、「バイオハザード4」や「バイオハザード5」で育った筆者としては「このアクションをやりたかったんだよ~!」と思わせてくれる完成度となっていた。

 ストーリー中には、グレースを守りながら戦う場面や四方を囲まれた状態での戦闘なども存在し、アクションの面白さを最大限味わえる様々なロケーションがプレーヤーを楽しませてくれる。

【近接武器トマホーク】

 レオンパートで重要な要素となるのが多彩な武器の装備と強化だ。グレース視点よりも遥かに多い銃火器やアイテムを自由に装備・強化してカスタマイズを楽しめる。

 アイテムをしまう場所も「アタッシュケース」なのでグレースよりも多くのアイテムを持ち運ぶことができ、探索を行ないながら存分にビルド要素を味わえるだろう。

【アタッシュケース&武器のカスタマイズ】

 グレース視点よりも戦闘に重きを置いているため、全体的なアクション難易度としては少し高めではあるものの、レオンの強さを味わえる“アクションの気持ち良さ”を重視したバランスが取られていたように筆者は感じた。

 当然、道中には強力なボスが存在するのでゲームオーバーになる場面も多々存在したが、「アクションや装備・立ち回りで何とでもなる」と思わせてくれる強さがレオンには存在しているので苦に感じることはほとんどなかった。

 ストーリーが交互に展開される都合もあるが、レオンパートはグレースパートで存分に恐怖した後の“ご褒美”のような感覚に感じるので、アクションパートとしての完成度は申し分ない。

とにかくアクションの全部がカッコ良くて気持ちがいい!

 また、少し斬り込んだ話題としてレオンパートとグレースパートのどちらがプレイ時間が長かったのかもお伝えしたい。

 ゲーム的には丁度半々になる形でパートが分けられているとは思うのだが、序盤は特にグレースパートに力が入っていたように感じている。

 というのも、レオンパートは戦闘がメインとなるので敵を倒せさえすればスムーズに先に進めるのだが、グレースパートではアイテムの取捨選択や敵の隙をついての探索、謎解きなどプレイに試行錯誤する時間が多かったのだ。

 パズル要素で行き詰まり、マップを隅から隅まで探索しなおすこともあり、その度にすり減るアイテムを見てヒヤヒヤするといった体験が非常に印象深く残っているし、実際のプレイ時間も長かった。

 恐怖を味わった分だけレオンパートの爽快感が増すので、本作の楽しみ方としては正しいのかもしれない。

視点切り替えで変わる“恐怖”と“爽快感”。ダブル主人公ならではの手触り

 最後に本作独自の要素「一人称」と「三人称」の切り替えについて触れていく。従来では作品ごとに固定だったこの2つの視点だが、本作ではゲームプレイ中いつでも変更が可能だ。

 ホラーの没入度を高めるためにグレースパートでは「一人称」に、アクションの爽快感を強めるためにレオンパートでは「三人称」のプレイが推奨されている。

 実際オススメされた通りにプレイするとそれぞれの良さが見え、特にグレースパートでは視点の違いで恐怖度が段違いなので「一人称」でのプレイを強くオススメしたい。

 しかし実際のところ、「一人称」でのプレイは慣れていないと疲労の蓄積も大きいのが現実だった。探索の所々でグレースパートでも「三人称」で筆者はプレイしていた。

 「三人称」の利点としては視覚範囲が広がることでアイテムの取り逃しも少なくなることだろう。また、敵から攻撃を受けた際に苦しそうなグレースを直接見ることになるので“それはそれで怖い”という別のホラー要素に繋がっていた。

 本作の魅力はまだまだ大量に散りばめられている。間違いなく言えることはグレースとレオンの暗雲立ち込める物語と、本作ならではのダブル主人公を生かしたシステムは今までにない面白さをしっかり生み出しているということだ。

 「バイオハザード」ファンからもホラーゲーマーからも非常に注目度の高い本作。気になる人はぜひプレイしてみてほしい。

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