既報のとおり,Intelは,デスクトップPC向けの新型CPU「Core Ultra 200S Plus」シリーズとして,「Core Ultra 7 270K Plus」と「Core Ultra 5 250K Plus」を発表した。
Core Ultra 7 270K Plus(左)とCore Ultra 5 250K Plus(右)
開発コードネーム「Arrow Lake Refresh」という名が表すとおり,どちらも既存の「Core Ultra 200S」シリーズ(開発コードネーム:Arrow Lake)のマイナーチェンジモデルだ。
しかしIntelは,200S Plusシリーズを「Intel史上世界最速のゲーム向けCPU」とアピールしているので,これら新製品の性能はゲーマーとしても気になるところだ。
AMDのRyzenシリーズを意識した意欲的な価格を設定するなど,「なりふり構わずシェアを守りにきた」という点でも,注目すべきだろう。
発売に先立ち,両CPUを試用する機会を得たので,これらの性能を4Gamerベンチマークレギュレーションをベースに調べてみた。
内部バスやメモリの高クロック化により遅延を低減
まずは,Core Ultra 7 270K PlusとCore Ultra 5 250K Plusの概要をまとめておこう。両製品のおもな仕様は表1のとおり。

Core Ultra 7 270K Plusは,「Core Ultra 7 265K」の上位モデルにあたる。
Core Ultra 7 265Kは,高性能コア「P-core」を8基,高効率コア「E-core」を12基備える合計20コアのCPUだった。
それに対してCore Ultra 7 270K Plusは,P-coreは8基と変わらないが,E-coreは16基で合計24コアに増えており,CPUコア数だけを見れば,ハイエンド市場向けのCore Ultra 9シリーズに匹敵する。
あえてCore Ultra 7というミドルハイ市場向けのシリーズにしたのは,299ドル(約4万6700円,税別)というメーカー想定売価でも分かるように,Core Ultra 7 270K Plusの狙う市場がハイエンドではないからだ。
Core Ultra 7 270K Plusの表面(左)と裏面(右)
Core Ultra 5 250K Plus
Core Ultra 5 250K Plusも同様で,既存の「Core Ultra 5 245K」がP-core×6基+E-core×8基の合計14コアなのに対して,P-core×6基+E-core×12基の合計18コアに増量したのがポイントである。CPUコアの規模だけを見れば,1ランク上のCore Ultra 7シリーズと変わらない。
このように,1クラス上のCPUコア数に増量しただけでなく,P-coreのブースト時の最大クロックを,従来より100MHzだけ引き上げた。Intelによれば,全P-coreブースト時のクロックは200MHz引き上げられているという。
どちらのCPUも,1クラス上のコア数を誇る
さらに,CPUのある「Compute tile」とほかのタイル間を接続するインターコネクトの動作クロックを,従来の2.1GHzから3GHzへと900MHzも引き上げたという。これは,とくにゲーム性能にとって大きな意味を持ちそうだ。
なぜなら,Core Ultra 200Sシリーズはメモリのレイテンシが大きく,そのことが,ゲームのフレームレートの上がらない大きな要因になっていた。インターコネクトのクロック向上により,そのレイテンシが多少は低下すると期待できる。
各部のクロックが大きく引き上げられたことで,レイテンシが減ると期待できる
メモリクロックが引き上げられているのも特筆できる点だ。Core Ultra 200Sは,DDR5-6400まで対応していたが,Core Ultra 200S PlusはDDR5-7200までの対応となった。
このように1クラス上のCPUコア数を備え,各部の高クロック化を図ったうえで,競合のミドルクラスCPUの価格帯に直接にぶつけてきているのが,Core Ultra 200S Plusの大きなポイントである。
競合のミドル〜ミドルハイ市場向けCPUと同程度の価格帯を狙う
Intelは,Core Ultra 200S Plusシリーズの高いゲーム性能をアピールしており,とくにCore Ultra 7 270K Plusは,「Ryzen 7 9700X」に対して平均4%上回るという。
Intelがテストした37タイトルを平均すれば,Core Ultra 7 270K PlusがRyzen 7 9700Xよりも高いゲーム性能を持つという
タイトルによってばらつきがあるので,実際に自分がプレイしているゲームでどうなるかは分からない。ただ,グラフからは,おおむね競合と匹敵するか,やや上回る性能を持つのが読み取れる。そのうえで1クラス上のコア数を誇る製品なので,Intelの主張どおりなら,お買い得感があるCPUになりそうだ。
チップセットは,Core Ultra 200Sと同じく「Intel 800」シリーズに対応するので,UEFI(BIOS)アップデートを適用すれば,基本的には既存のマザーボードで利用可能だ。
TDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)など仕様も,従来のCore Ultra 200Sシリーズから変わっていないので,使い勝手はCore Ultra 200Sシリーズと同じと考えてもらって構わない。
ただ,Core Ultra 200S Plusから新たに最大容量128GBの「Quad Rank CUDIMM」メモリモジュールに対応しているのだが,これを使うには,マザーボード側の対応が必要になるという。
既存のIntel 800シリーズチップセット搭載マザーボードでは,Quad Rank CUDIMMには対応できないはずだ。
とはいえ,AI開発目的などで大量の高速メインメモリを搭載したいユーザーにとっては重要だが,ほとんどのゲーマーはQuad Rank CUDIMMを使う機会はないだろう。
Intelが投入する最適化ソフトウェア「Binary Optimization Tool」
Core Ultra 200S Plusでは,Intelが提供するソフトウェア面にもテコ入れされている。
IntelはCore Ultra世代向けに,「Intel Application Optimization」(以下,iAPO)を提供している。
Core Ultra世代のCPUは,高性能なP-coreと,電力性能比に優れたE-coreという2種類のCPUコアを備えているが,これらのCPUコアは,それぞれ性能が異なるので,アプリケーション実行時に適切なコアにスレッドを割り当てないと十分な性能を発揮できない。
それを調整するのがiAPOの役割だ。
iAPOは,OSとアプリケーションの間に割り込んで,アプリケーションを構成するスレッドの割り当てを調整し,適切なCPUコアにアプリケーションのスレッドを割り当てることで,Core Ultra世代のCPUの性能を発揮させられるようにするソフトウェアツールである。
これに加えてIntelは,Core Ultra 200S Plusユーザーに向けて,「Intel Binary Optimization Tool」(以下iBOT)というツールを提供する。
iBOTは,iAPOに比べると少し分かりにくいが,常駐するバイナリ最適化ツールのようなものだ。少し込み入った話になるが,ざっくりと説明しておこう。
Intelは古くから,自社CPU向けに最適なコードを生成するコンパイラ製品「Intel C++ Compiler」や,最適化に役立つツールを開発,提供してきた。
たとえば近年では,プラットフォームに最適な実行バイナリを生成する「Hardware Profile-Guided Optimization」(HPGO)というツールを開発者に提供している。
HPGOの開発フロー
HPGOは,ソフトウェア開発者が使う最適化ツールだ。まず作成した実行ファイルを実際に対象CPUで動作させたうえで,専用のプロファイラで動作を解析して,実行時のプロファイルを取得する。
HPGOの実行時プロファイルには,たとえば分岐予測のヒットミスが連続して,CPUの処理が一時的に待たされる事態が連続したような部分の情報が含まれている。
このプロファイルとともに,実行ファイルをIntel製コンパイラでビルドし直すことで,命令順を対象CPUに最適な並び順に変更することで,最適な性能を得られるというのがHPGOの仕組みだ。
ソフトウェアを実行するCPUが決まっているなら,HPGOはとても強力なツールだが,PCゲームの開発には使いにくい。ゲーマーが使うPCのCPUを,事前に特定できないからだ。
3割を超えるゲーマーがAMD製のCPUを使用している現状を考慮すると,Intel製CPUに特化した最適化をかけてしまうHPGOを使うのは,ゲームデベロッパにとってあり得ない選択だろう。
「デベロッパがHPGOを使ってくれないなら,Intelがバイナリに対しHPGOと同じ最適化をやってしまえばいい」というのがiBOTのコンセプトである。
iBOTは,iAPOと同様にシステムに割り込んで,アプリケーション実行時にストールが多発している部分を,最適な命令順に並び替えたIntel製のバイナリへと強制的に変更してしまうツールだ。
これにより,アプリケーションの実行がCore Ultra 200S Plusに最適化されるので,より高い性能が得られるという理屈である。
かなり強引な手法ではあるのだが,その効果は侮れない。Intelによれば,iBOTによる最適化を行うことで,ゲームでは平均8%もの性能向上が得られるのだという。
iBOTを適用すると,平均8%のフレームレート向上が得られるという
念を押しておくと,iBOTはあらゆるゲームに対して機能するツールではない。効果があるのは,Intelが実行時プロファイリングを行い,最適な命令順に並び替えたコードを提供する「iBOT対応ゲーム」に限られる。その点は既存のiAPOと同じだ。
Intel Binary Optimization Toolのスライダーがあるタイトルだけが,iBOT対応ゲームである
iBOTの設定には,iAPOのユーティリティを利用する。iAPOユーティリティにある「Advanced Mode」を有効化すると,Core Ultra 200S Plusでは「Intel Binary Optimization Tool」というスライダーが現れる。そのスライダーをオンにしたタイトルで,iBOTが有効になる仕組みだ。
つまり,この一覧にあるゲームしか,iBOTは対応していない。
iBOTのスライダーをオンにしてPCを再起動すると,対応ゲームは,次回起動以降にiBOTが割り込んで,最適化されたコードに切り替える。使い方自体は,ユーザーがやることは初回設定だけなので簡単と考えていい。
iBOTの正体見たり?
IntelはiBOTの説明で,「バイナリトランスレータ」を引き合いに出している。
Arm版Windows上でx86向けのアプリケーションを実行する「Prism」は,典型的なバイナリトランスレータである。Prismはx86→Armのバイナリトランスレータだが,iBOTはx86→x86というわけだ。
ただ,バイナリトランスレータの手法をそのままゲームで使うと,変換の負荷で逆に遅くなるだろう。バイナリトランスレータの技術の一部は使っているかもしれないが,iBOTはもっと単純でシンプルな手法を使っているはずだ。
そこでiBOT対応ゲームのうち,「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」(以下,FFXIV黄金のレガシー ベンチ)を対象に,Windows純正デバッガ「WinDbg」を使って動作をトレースしてみたところ,わりと簡単にiBOTのメカニズムが分かった。
FFXIV黄金のレガシー ベンチは,設定などを行うランチャーから,ベンチマーク本体である「ffxiv_dx11.exe」を起動する仕組みである。
そのffxiv_dx11.exeを起動した直後に,まずiAPOのDLLが割り込み,続いてiBOTのDLLが割り込む様子が,しっかりとトレースに残っていた。
●WinDbgのトレース抜粋
************* Path validation summary **************
Response Time (ms) Location
Deferred srv*
Symbol search path is: srv*
Executable search path is:
ModLoad: 00007ff6`246a0000 00007ff6`27ad0000 ffxiv_dx11.exe ←ベンチ本体が起動
ModLoad: 00007ffd`0dca0000 00007ffd`0df07000 ntdll.dll
ModLoad: 00007ffd`0bfe0000 00007ffd`0c0a9000 C:\WINDOWS\System32\KERNEL32.DLL
ModLoad: 00007ffd`0b640000 00007ffd`0ba31000 C:\WINDOWS\System32\KERNELBASE.dll
……中略
ModLoad: 00007ffd`0a210000 00007ffd`0a224000 C:\WINDOWS\SYSTEM32\UMPDC.dll
ModLoad: 00007ffd`047b0000 00007ffd`047bf000 C:\WINDOWS\System32\DriverStore\FileRepository\kpe_apo_win.inf_amd64_75d2522110252755\APO_PROCS64.dll ←iAPOが割り込んだ
……中略
C:\WINDOWS\System32\DriverStore\FileRepository\kpe_apo_win.inf_amd64_75d2522110252755\ibtpgo64.dll ←これがiBOTのDLL
……中略
IbtInit: IBT DLL is injected into App ffxiv_dx11 ←iBOTの初期化メッセージ
ModLoad: 00007ffd`09230000 00007ffd`0924b000 C:\WINDOWS\SYSTEM32\kernel.appcore.dll
ログに残っているAPO_PROCS64.dllは,iAPOのDLLで,ibtpgo64.dllがiBOTのDLLであることは間違いないだろう。
iBOTは,iAPOと同様に,ドライバスタックからDLLを割り込ませる手法を使ってゲーム起動時にロードしていることが分かる。
ログの中で,「IbtInit」で始まる行は,iBOTのデバッグメッセージだ。本来なら不必要なデバッグメッセージをあえて残しているのは,レビューアー向けのバージョンであるからだろう。もしかすると,レビューアーに動作のヒントを与える配慮かもしれない。
ただ,この簡単なテストでは,DLLを割り込ませる手法が分かっただけ。iBOTの具体的な詳細は,ibtpgo64.dllを解析してみないことには何ともいえない。
ただ,以上の手法からして,2つの問題点が頭に浮かぶ。
アンチチートソフトやアンチウイルスソフトによる誤検知の可能性
ゲーム側のバージョンアップに対応できなくなる可能性
「injected」(注入)という言葉が象徴しているように,iAPOやiBOTは,ゲームデベロッパが提供しているソフトウェア以外のDLLを,横から注入する手法を使っている。これは,アンチチートソフトやアンチウイルスソフトが注目する禁じ手のひとつだ。
ただ,IntelはiBOTについて,「ゲームデベロッパと緊密に協力し,アンチチートに反応しないことはもちろん,ゲーム本体の実行に支障が起きないことを保証したうえで提供を行う」と繰り返し説明していた。
そのためiBOTが,アンチチートソフトに不正なプログラムとして検出されること,あまりなさそうに思える。だが,対応ゲームが迅速に増えることは,期待できないかもしれない。マイナーなインディーゲームとなればなおさらだ。
Intelからの情報を総合するに,ibtpgo64.dllの「igtpgo」とは,「Intel binary translator profile guided optimizer」のことだろう。いずれにしてもプロファイルベースの最適化だ。
だが,ゲーム本体がバージョンアップなどにより変更されると,プロファイルと一致しなくなる。そうなれば最適化も機能しなくなるだろう。Intelがバージョンアップされたゲーム本体のプロファイリングを実行し直して,ユーザーに結果を提供するまでは,iBOTが機能しないというわけだ。
したがって,iBOT対応ゲームは,バージョンアップの頻度が少ない枯れたゲームが中心になりそうだ。
実際,現時点でiBOTのスライダーが現れるゲームは,比較的枯れたタイトル比較的多いように見える。「FFXIV」や「League of Legends」のようにライブサービスが続いているゲームの対応は,例外的だろう。
そうなると,最新のゲームがいち早くiBOTでサポートされることは,あまり期待できそうもない。
Ryzen 9 9900XやRyzen 5 9600Xと比較
テスト構成を説明しよう。
冒頭で述べたとおり,今回はCore Ultra 7 270K PlusとCore Ultra 5 250K Plusを試用した。
「CPU-Z」でCore Ultra 7 270K(左)とCore Ultra 5 250K Plus(右)の仕様を確認したところ
比較対象として用意したのは,「Ryzen 9 9900X」と「Ryzen 5 9600X」の2製品だ。
Ryzen 5 9600Xは,Core Ultra 5 250K Plusの直接的な競合としてIntelが想定しているCPUである。
一方のRyzen 9 9900Xは,今回のテスト対象2製品よりも上位モデルで,直接の競合ではない。
しかし,Ryzen 9 9900Xの12コア24スレッドに対し,Core Ultra 7 270K Plusは24コア24スレッドなので,比較対象として不適格ではないだろう。価格はCore Ultra 7 270K Plusのほうが安いと思われるので,Ryzen 9 9900Xに匹敵するか上回る性能を見せれば,抜群のコスト性能と認定できる。

使用した機材は表3のとおりだ。
今回は,IntelからCPUとセットで,Core Ultra 200S Plusシリーズで動作認証済みのXMP 3.0対応メモリモジュールであるG.Skill International Enterprise製「TRIDENT Z5 NEO RGB」(容量16GB×2,製品型番F5-7200J3445G16GX2-TZ5RK)を借用した。
もちろん,テストではDDR5-7200の設定を利用している。
※クリックすると詳細版を表示します
マザーボードには,ASUSTeK Computer(以下ASUS)製の「ROG MAXIMUS Z890 HERO」を使用した。
ゲーマーに定評のあるMAXIMUSブランドの上位モデルで,大型のヒートシンク群やバックパネルをフル装備する堅牢な製品である。Core Ultra 200S Plusにふさわしいマザーボードだろう。
ROG MAXIMUS Z890 HERO
ちなみに,ROG MAXIMUS Z890 HEROは,Core Ultra 200S Plus対応UEFIが配布済みで,レビューアーにも推奨されているマザーボードである。Core Ultra 200S Plusへの対応は万全と思っていい。
一方,Ryzen 9000シリーズには同じくASUS製の「ROG Crosshair X870E Hero」を使用した。
ROG MAXIMUS Z890 HEROと同格のSocket AM5向けマザーボードなので,比較対象として適切だろう。ROG Crosshair X870E Heroは,XMP 3.0メモリモジュールに対応しているので,TRIDENT Z5 NEO RGBをDDR5-7200設定で問題なく使用できた。
グラフィックスカードには「GeForce RTX 5080 Founders Edition」を利用した。レビューには可能な限りハイエンドのGPUを使うよう指定されているので,手元に用意できた最上位モデルを利用した次第だ。
CPUクーラーは,いつものとおり,ASUS製の大型液冷CPUクーラー「ROG RYUJIN II 360」を,積極的に冷却を行う「Turbo」プリセットで使用している。
実行したテストは,「4Gamerベンチマークレギュレーション32」をベースにしているが,ゲームとして今回はiBOT対応ゲームである「Cyberpunk 2077」を追加した。iBOTの効果をFFXIV黄金のレガシー ベンチと合わせて確認するためだ。
また,CPUそのものの性能テストとして,「Cinebench 2026」と「PCMark 10」(Version 2.3.2912)を実行した。
PCMark 10はやや古いテストだが,IntelはCore Ultra 200S Plusについて,競合を圧倒するクリエイティブ性能をアピールしている。PCMark 10は,動画や画像の加工を含めたクリエイティブ系アプリをバランスよく含んでいるので,今回のテストとして追加した。
ゲームテストの解像度は,いつもどおり3840×2160ドット,2560×1440ドット,1920×1080ドットの3種類を選択。ただし画質設定は,エントリーGPU向けをベースに,超解像技術を併用して描画負荷を極端に落とす設定を採用した。
というのも,レギュレーション32世代のゲームは描画負荷がかなり高いので,CPUの性能差が出にくくなっているためだ。
これまでのCPUやGPUのテストよりも,画質をかなり落としているので,直接の比較ができない点は押さえておいてほしい。設定の詳細については,必要に応じて各タイトルで触れたい。
CPU性能は高いが,ゲーム性能はばらつきが大きい
まずは,「3DMark」(Version 2.32.8853)から,CPU性能を物理シミュレーションによって測定する「CPU Profile」を見ておこう。グラフ1がその結果だ。

Core Ultra 200Sのテスト時と同様に,CPU Profileでは,Core Ultra 200S PlusシリーズがRyzen勢を圧倒する。
Core Ultra 200S Plusでは全コアブースト時のクロックも向上していることから,さらに磨きがかかった印象だろうか。Core Ultra 5 250K Plusでさえ,Ryzen 9 9900Xをすべてのテスト項目で上回ってしまう。もはやCPU Profileでは比較にならないといっていいほどだ。
CPUが実行可能なスレッド数を実行するCPU Max Threadsで比較すると,Core Ultra 7 270K PlusはRyzen 9 9900Xの約1.4倍,Core Ultra 5 250K PlusはRyzen 5 9600Xの実に1.9倍以上のスコアを叩き出した。
シングルスレッドでもCore Ultra 7 270K Plusが約6%,Core Ultra 5 250K Plusで約4%上回っているので,少なくともCPU Profileでの結果は,Core Ultra 200S Plusに軍配が上がる。
次のグラフ2は,「Fire Strike」の総合スコアとPhysics scoreをまとめたものだ。

総合スコアは,グラフのとおり妙な結果になっている。Core Ultra 7 270K Plusでは,Combined Scoreが極端に低く,Ryzen 9 9900Xは同スコアが極端に高いので,それが総合スコアに反映されてしまうためだ。
4Gamerでも過去に何度か触れているように,Fire StrikeのCombined Scoreは,もはや正常と思えるスコアを出さなくなっているので,総合スコアもCPU性能基準の比較には使えないかもしれない。
CPU性能そのものを測るPhysics scoreは,CPU Profileとほぼ同じ傾向だ。Core Ultra 200S PlusがRyzen勢をここでも圧倒している。
グラフ3は,DirectX 12ベンチマークである「Time Spy」の総合スコアだ。

Core Ultra 7 270K PlusはRyzen 9 9900Xより約6%高いスコアを,またCore Ultra 5 250K PlusはRyzen 5 9600Xを18〜19%程度上回るスコアを記録した。
その理由だが,グラフィックスのスコアがあまり変わらない一方で,CPU scoreでCore Ultra 200S Plusが圧倒してしまうためだ。その結果として,総合スコアもCore Ultra 200S Plusが上回る。CPUパワーでCore Ultra 200S Plusが勝つという,ここまでのパターンを踏襲しているといえよう。
だが,グラフィックスが絡むと必ずしもCore Ultra 200S Plusが有利とはいえないことは,次のDirectX 12ベンチマークである「Steel Nomad」の結果(グラフ4)から見えてくる。

スコア差は小さいが,Core Ultra 7 270K Plusは,CPU性能差が出やすいSteel Nomad Liteにおいて,Ryzen 9 9900Xに対して約1%低いスコアとなった。Core Ultra 5 250K Plusも同様で,Ryzen 5 9600Xに対して約1%高いスコアを記録した。
ぎりぎり有意といえる程度だが,ゲームに近いゲームエンジンでは,Core Ultra 200S Plusが必ずしも競合を上回れるわけではないことが分かる。
その傾向は,次のDirectX 12 Ultimateの性能を測る「Speed Way」の結果(グラフ5)にも現れた。

Steel Nomadと同様に,Speed WayもCore Ultra 200S Plusシリーズが,どちらも競合より約1%低いスコアを記録した。微妙な差だが,Steel Nomadと同じ傾向なので,有意と見ていいだろう。
3DMarkの結果を総合するに,Core Ultra 200S PlusのCPU性能は,かなり高いようだ。価格に比して1クラス上のCPUコアを詰め込んでいるので,当然の結果ではある。Core Ultra 5 250K Plusでさえ,Ryzen 9 9900Xを凌駕する性能を持っていそうで,その点での価格対性能比は抜群かもしれない。
ただ,ゲーム性能については,まだ見えてこない。
ゲームのテストは,「Call of Duty: Black Ops 7」(以下,CoD:BO7)の結果から見ていこう。
CoD:BO7では,グラフィックス品質のプリセットに「ベーシック」を,超解像技術に「DLSS」を選択したうえで,「NVIDIA DLSSプリセット」で「性能」を選ぶことにより,描画負荷を大幅に軽減した状態でフレームレートを測定した。
結果はグラフ6〜8だ。
すべての解像度で頭ひとつ抜けたフレームレートを記録したのは,Ryzen 9 9900Xだった。CPU性能差が出やすい1920×1080ドットに至っては,Ryzen 9 9900Xが他より平均40fps以上高いという,まさに圧倒的な差になっている。
Core Ultra 200S Plus勢は,平均フレームレートだけを見るとRyzen 5 9600Xに及ばない残念な結果だが,少し面白いのは,CPU性能差が出にくい3840×2160ドットを除く2解像度で,最小フレームレートはCore Ultra 200S PlusがRyzen勢より有意に高い結果を残した点だ。
最小フレームレートが高いことから,ゲームの快適さには平均フレームレートが示すほどの差はないはずである。
この結果から見ると,CoD:BO7は,Core Ultra 200S Plusに対して若干の最適化不足があるのかもしれない。最小フレームレートの優秀さを見る限り,iBOTのような手法でCoD:BO7に最適化コードを注入できれば,Ryzen勢を平均フレームレートでも圧倒できる可能性を秘めている。
ただ,随時アップデートされているeスポーツタイトルでは,iBOTを適用させるのは難しそうなのが残念なところだが。
次の「Battlefield 6」では,グラフィックス品質に「中」を選択したうえで,超解像技術の設定に「超高性能」プリセットを設定し,描画負荷を大きく下げた。結果はグラフ9〜11だ。
CPU性能差が出にくい3840×2160ドットでは,Core Ultra 200S Plusの平均フレームレートは,Ryzen勢にわずかに及ばなかった。しかし2560×1440ドット以下では,Core Ultra 200S PlusがRyzen勢を,平均と最小フレームレートのどちらも圧倒した。
差は,Core Ultra 7 270K PlusがRyzen 9 9900Xに対して4%以上,Core Ultra 5 250K PlusはRyzen 5 9600Xに対して6%以上と,十分に大きな差をつけている。
最小フレームレートに至っては,Core Ultra 200S Plusのほうが10%以上高いので,ゲームをプレイしていても快適さの違いが分かる程度かもしれない。
CoD:BO7とは真逆の結果で驚くが,Battlefield 6は,Core Ultraシリーズ向けの最適化が行われているのかもしれない。
次の「モンスターハンターワイルズ」では,グラフィックス品質のプリセットを「低」に,レイトレーシングを「OFF」として,超解像度技術に「NVIDIA DLSS」を選択した。
また,アップスケーリングモードを「ウルトラ性能」にして,描画負荷を下げている。結果はグラフ12〜14だ。
グラフを見てのとおり,モンスターハンターワイルズでは,どの解像度でもCore Ultra 200S Plusが,Ryzen勢を上回る平均フレームレートを記録した。
Battlefield 6と異なるのは,4K解像度でもCore Ultra 200S PlusがRyzen勢を上回った点だ。グラフィックス負荷を落としてDLSSを有効にすると,モンスターハンターワイルズでは,解像度によるフレームレートの差が極端に小さくなる傾向があるので,そのため解像度による傾向の違いが出にくくなるのかもしれない。
実際,いずれの解像度でもCore Ultra 7 270K PlusはRyzen 9 9900Xに対して3〜4%程度,Core Ultra 5 250K PlusはRyzen 5 9600Xに対して約10%高い平均フレームレートを記録した。傾向にはあまり違いがないわけだ。
最小フレームレートは,Core Ultra 7 270K Plusの1920×1080ドット時だけ,やや低く出たが,それ以外はCore Ultra 200S Plusが有意に高い。Core Ultra 7 270K Plusの1920×1080ドット時には,バックグラウンドでなにか例外的な処理が発生したのかもしれない。
以上の結果からすると,Battlefield 6のようにモンスターハンターワイルズも,Core Ultra 200シリーズに対する最適化が行われているのでは,と推測できる。
次の「Fortnite」は,グラフィックス品質として「中」プリセットを選択したうえで,「アンチエイリアス&スーパー解像度」に「DLSS」を選択し,「NVIDIA DLSS」設定で,最も描画負荷が軽い「性能」を設定した。
結果はグラフ15〜17のとおり。
描画負荷を下げすぎたせいか,1920×1080ドットでは平均フレームレートにばらつきが見えるものの,2560×1440ドット以上ではRyzen勢がCore Ultra 200S Plusを上回る平均フレームレートを記録した。
最小フレームレートは,ややばらつきがあるが,おおむねRyzen勢が高いという傾向だろう。
1920×1080ドットでは,いずれのCPUでも500fpsを超えてしまい,整合性がある結果になっていないが,どの解像度でもRyzen 5 9600Xがわりと良好な結果を残す傾向が見えた。
Fortniteは,以前から新しいCPUだとフレームレートが伸びない傾向のあるゲームなので,今回もそれが出た可能性はあるだろう。
Core Ultra 200S Plus発売後に,また傾向が変わる可能性はあるが,いずれにしてもFortniteでは,Ryzen勢に軍配が上がったと見ていいだろう。
次のFFXIV黄金のレガシー ベンチは,4Gamerベンチマークレギュレーションに含まれる唯一の「iBOT対応ゲーム」だ。なので,とくにiBOTの効果を検証してみた。
グラフィックス品質のプリセットは,いつものとおり「最高品質」を設定。「グラフィックスアップスケールタイプ」として「NVIDIA DLSS」を,「適用するフレームレートのしきい値」を「常に適用」に設定することで描画負荷を下げている。
総合スコアをグラフ18にまとめた。

まずはiBOTによるスコアの上昇率を見ていこう。
Core Ultra 7 270K Plusでは,iBOTを有効化すると3840×2160ドット時で約3%向上。解像度が低いほど効果が上がり,1920×1080ドットでは実に約8%スコアが向上した。
一方,Core Ultra 5 250K Plusでは,3840×2160ドット時に約4%だが,2560×1440ドット以下では10%以上ものスコア向上をはたしている。
Core Ultra 5 250K PlusにおけるiBOTの効果はかなり高いようだが,これは予想どおり。CPUの性能を引き出す最適化は,CPUコア数が少なかったり,クロックが低かったりするCPUほど,効果が出やすいものだ。
FFXIV黄金のレガシー ベンチは,Ryzen勢が得意とするベンチマークだが,iBOTの底上げ効果によりCore Ultra 7 270K PlusではRyzen 9 9900Xと肩を並べるスコアに達している。これは大した効果だと言わざるをえない。
一方のCore Ultra 5 250K PlusはiBOTを有効にしても,Ryzen 5 9600Xにやや及ばず。それでも十分な性能向上が得られたことは,間違いないところだ。
グラフ19〜21に,FFXIV黄金のレガシー ベンチにおける平均および最小フレームレートをまとめているが,ここでもiBOTの効果がうかがえる。
平均フレームレートを見ると,総合スコアが示すほどiBOTの引き上げ効果は大きくないのだが,最小フレームレートもiBOTにより引き上げられている。結果として快適さが向上していることは見逃せないだろう。
続く「F1 25」では,グラフィックス品質のプリセットに「中」を選択。「アンチエイリアス」に「NVIDIA DLSS」を,「アンチエイリアシングモード」を「性能」に設定して,GPU負荷を大幅に下げている。
結果はグラフ22〜24のとおり。
結果がばらついていて分かりにくいが,3840×2160ドットではCore Ultra 200S PlusがRyzen勢に平均約30fpsもの差をつけられている。
2560×1440ドット以下は差が小さくなるが,それでも平均,最小ともにRyzen勢がCore Ultra 200S Plusをやや上回る結果になった。F1 25はRyzen勢に軍配が上がった,と見ていい。
傾向としてはFortniteに近く,Core Ultraシリーズに対する最適化は,あまり行われていないゲームのようだ。
レギュレーションの最後である「Cities: Skylines II」は,グラフィックス品質のプリセットとして「低」を,「アップスケーラー」として「NVIDIA DLSS Super Resolution」の「最大性能」を選択して,GPU負荷を大きく下げる設定を採用した。結果はグラフ25〜27だ。
もともとCities: Skylines IIは,Core Ultra 200Sシリーズが優秀な成績を残すゲームだったが,描画負荷を下げたことで,その傾向がさらに極端になった。
どの解像度でも最高はCore Ultra 7 270K Plusで,次点がCore Ultra 5 250K Plus。Ryzen勢はどちらにも及ばない。CPUパワーを必要とするゲームなので,最適化の有無にかかわらず,このような結果になるのだろう。GPUスループットという枷が外れたことで,その差が大きくなったわけだ。
最後に,今回iBOT向けの特例として,「Cyberpunk 2077」を追加した。
Cyberpunk 2077では,グラフィックス品質のプリセットを「中」としたうえで,DLSS関係は以下のように設定して描画負荷を下げた。
解像度スケーリング:DLSS Super Resolution
DLSS Super Resolutionプリセット:トランスフォーマーモデル
DLSS Super Resolution:ウルトラ
Cyberpunk 2077内蔵のベンチマークテストの結果を,グラフ28〜30にまとめている。
iBOTの平均フレームレート引き上げ率は,Core Ultra 7 270K Plusで解像度に関わらず3%弱,Core Ultra 5 250K Plusでは1920×1080ドットで約4%,それ以外は約2%となっている。FFXIV黄金のレガシー ベンチと比べて,向上率はあまり大きくない。
だが,結果として,Core Ultra 5 250K Plusでは1920×1080ドット時に,iBOTを有効化することで,Ryzen 5 9600Xを平均フレームレートで上回った。わずかな向上率であっても,競合との比較の中では意味を持つようだ。
ちなみにCyberpunk 2077は,DLC「仮初の自由」をリリース後,開発終了とアナウンスされている。最先端のリッチなグラフィックスが印象的なゲームだが,今となっては枯れたゲームなので,iBOTの対象にしやすいのではなかろうか。
ここまでゲームでの結果を見てきたが,Core Ultra 200S Plusのゲーム性能は,最適化の有無に大きく左右されるようだ。Battlefield 6やモンスターハンターワイルズのように,もともとIntel向けに最適化されていると思しきゲームでは,Ryzen勢を大幅に上回る例も見られる。
一方そうではないゲームでは,Ryzen勢がやや上回る。とはいえ,Ryzen勢が上回るゲームでも差が小さいことを考慮すると,Core Ultra 200S Plusの結果は悪くない。
国内における価格次第では,ゲーマーにとって十分に魅力的なCPUになっているといえる。
ただ,iBOTに関しては,性能向上の効果が宣伝どおり見られるものの,対応ゲームの少なさや,今後,対応ゲームをどんどん増やすのは難しそうに思えることからすると,Core Ultra 200S Plusを選択する強い動機にはなりそうもない。
ちょっと面白いスパイス,くらいに受け取っておくといいのではなかろうか。
クリエイター向けアプリケーションの性能はIntelのアピールどおり
Intelは,Core Ultra 200S Plusにおけるクリエイター向けアプリケーションの性能が,競合を圧倒しているとアピールしている。そのことを確かめるために,まず3Dレンダリング性能を測る「Cinebench 2026」の結果を見よう。
なお,Ryzen 9000シリーズはSMTに対応するため,Cinebench 2026では2スレッドを同一コアで実行する「Single Core」のスコアも取得できるが,今回はSMT(Hyper-Threading)非対応のCore Ultra 200S Plusとの比較のため,Single Coreのテストを省略した。結果はグラフ31のとおり。

スコアの傾向や差は,3DMarkのCPU Profileとほぼ同じといっていい。Core Ultra 5 250K Plusでさえ,Ryzen 9 9900Xを上回るスコアを叩き出す。演算性能でいえば,Core Ultra 5 250K Plusの価格帯性能比は極めて高いと言わざるをえない。
CPU性能を要求する作業が多いPCユーザーならば,Core Ultra 5 250K Plusの登場は,大きな福音ではなかろうか。
同じく,クリエイター向けのテストを含むPCMark 10の結果も見ておこう。
PCMark 10では「OpenCL」を無効化したうえで,ビデオデコーダにはGeForce RTX 5080ではなく,CPUに統合されたGPUを選択してテストを行った。
なお,3DMarkのFire Strikeと同等のテストを行う「Gaming」を省略しているため,総合スコアは計測していない。
結果はグラフ32だ。

アプリケーションの起動速度や,Webブラウジング,ビデオ会議など日常の操作の快適さを測る「Essentials」では,僅差ながらRyzen 9 9900Xがトップとなった。
だが,Core Ultra 200S Plusのスコアは決して悪くなく,Core Ultra 5 250K Plusでは,Ryzen 5 9600Xのスコアを上回っている。ミドルクラスのCPUとしては,競合を上回る快適さを実現していると評価していいだろう。
続く表計算やワードプロセッサの性能を見る「Productivity」では,Ryzen 9 9900Xが飛び抜けた成績を残した。とくにテストに異常があったというわけでもなさそうなので,このような結果だったと報告せざるをえない。
Ryzen 5 9600XのスコアもCore Ultra 5 250K Plusを上回ることから,少なくともPCMark 10に組み込まれている「LibreOffice」の性能では,Ryzen勢が上回るようだ。
Intelが強くアピールする,クリエイター向けの処理を含む「Digital Content Creation」では,Core Ultra 200S PlusがRyzen勢を上回るスコアを記録した。
Core Ultra 7 270K Plusの本来の競合はRyzen 7 9700Xなので,1ランク上のRyzen 9 9900Xを凌駕できたことは評価に値するだろう。
ただ,ここまでのテストとは異なり,Core Ultra 5 250K PlusがRyzen 9 9900Xを上回ることはなかった。クリエイター向けのアプリを前提にするなら,Core Ultra 7 270K Plusが望ましいということか。
以上の結果からも,Intelがアピールするとおり,クリエイター向けのアプリケーションならばCore Ultra 200S Plusに分があることは間違いないだろう。
ゲームプレイ以外に,映像や写真の編集といった作業が多いクリエイター系のゲーマーなら,同価格帯のRyzen 9000シリーズを買うよりも,Core Ultra 200S Plusを買ったほうが幸せになれそうだ。
アイドル時を含めるとランニングコストはCore Ultra 200S Plusが有利か
最後に,ベンチマークレギュレーション32に準拠した消費電力の結果を見ておこう。アプリケーション実行中におけるCPU単体の最大消費電力をまとめたのが,グラフ33である。

ゲームにおいて,Core Ultra 7 270K Plusが最大値を記録したのは,Fortnite実行時の約233W。Core Ultra 5 250K Plusは,FFXIV黄金のレガシー ベンチ時の約138Wだった。
CPUコア数の違いと比べて,差が極めて大きいものの,最大消費電力は測定器がピークを拾ったかどうかにも左右されるので,このような差が出るのは致し方ないところもある。
Ryzen 9 9900Xは,Cities Skylines II実行時に約212Wを記録しているので,最大消費電力で見れば,Core Ultra 7 270K Plusと大きな差があるわけではない。Ryzen 5 9600Xも同様で,FFXIV黄金のレガシー ベンチ時に130W台を記録しており,Core Ultra 5 250K Plusと大差があるわけではないと見ていいだろう。
差が顕著なのはアイドル時で,Core Ultra 200S Plusは,アイドル時に1W台まで消費電力が下がる。実に優秀だ。その分,発熱もかなり抑えられるだろう。実際,ファンの回り方はCore Ultra 200S Plusのほうが穏やかだった。
CPUの実使用時に近い値が得られる,アプリ実行中の典型的な消費電力を示す消費電力中央値をまとめたのがグラフ34である。

ゲーム実行時の中央値を見ると,Core Ultra 7 270K PlusではBattlefield 6実行時に約157Wを記録。だが,Ryzen 9 9900Xも,Battlefield 6実行時に約178.9Wを記録しているので,それと比べればCore Ultra 7 270K Plusのほうが低消費電力だ。
一方のCore Ultra 5 250K Plusは,Battlefield 6実行時の約84Wが最も高く,Ryzen 5 9600XがBattlefield 6時に100Wを超える中央値を記録したのに比べれば優秀といえる。
中央値やピークを見ると,おおむねゲーム実行時の消費電力はCore Ultra 200S Plusに軍配が上がるといえよう。非ゲームアプリケーションだと,アイドル状態が続くケースがあるPCMark 10では,中央値が10W切ってしまうほど。Core Ultra 200S Plusは,電力面では扱いやすいといえるだろう。
消費電力計測の最後に,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,各テストの実行時におけるシステムの最大消費電力を,グラフ35にまとめておこう。

システムの消費電力はGPUが支配的で,また今回は,消費電力が高めになるハイエンド市場向けマザーボードを使っていることもあり,CPU単体では優秀だったCore Ultra 200S Plusが,必ずしも優秀といえなくなってしまうのが厳しいところだ。
システム消費電力は,ほとんど横並びといってしまってもいいくらいで,差が大きかったアイドル時でさえ,システム全体では大きな差がなくなってしまう。
意外にRyzen 9 9900Xも,システム全体では悪くなかったりするのが面白いところだろうか。
いずれにしても,CPU単独の消費電力で見ればCore Ultra 200S Plusは優秀で,その分だけ発熱も小さい。その点は評価していいはずだ。
クリエイター志向のゲーマーに歓迎されそうなCore Ultra 200S Plus
Core Ultra 200S Plusを見てきたが,ざっくりと印象をいうなら悪くないCPUだ。悪くないどころか,ゲーム以外に演算性能を求めるクリエイター向けのアプリケーションを利用する機会が多いゲーマーなら,Core Ultra 200S Plusの登場は朗報といっていい。
1ランク上のコア数を備えて前宣伝どおりの処理性能を持ち,ゲームにおける性能も,決して競合に引けを取らないからだ。
意欲的な価格(※国内の価格は未公開)に加えて,Intelの開発力を見せつけるiBOTという変化球の投入など,Intelが挑戦者としてAMDに挑もうとしている姿勢が十分に感じられる。ゲーマーの新しい選択肢として評価していい製品とまとめられそうだ。

















