ユービーアイソフトは、Steam用ローグライトアクション「モービッドメタル(Morbid Metal)」のアーリーアクセス版を4月9日に配信する。同作は開発元・SCREEN JUICE初となるゲーム作品だ。SCREEN JUICEは、クリエイターの個人的なプロジェクトが発端となり、その後チームでの本格的なゲーム開発に発展していったというユニークな経歴を持つインディースタジオだ。

 「モービッドメタル」は、文明崩壊後のシミュレーション世界で繰り広げられる、マシンとの戦いを体験するローグライトアクション。昨年には「東京ゲームショウ2025」にも出展され、現地に訪れたコアなアクションゲームファンたちからの注目を集めていた。

 今回は、ゲームのアーリーアクセス版を発売に先駆けて一足早く先行プレイさせていただいた。本稿ではそんな「モービッドメタル」のレビューをお届けしていく。

【MORBID METAL | Major Demo Update: New languages, Training area, Emporium, and more】

これは「死にゲー」じゃない。敗北も決して無駄にならない積み上げ型ローグライトの妙味!

 ここまで前置きが長くなったが、ここからはゲーム性を中心に紹介していきたい。既に前項で軽く紹介している通り、本作はローグライト要素によるビルド構築をベースとしたアクションゲームだ。始めたばかりのタイミングは比較的シビアなバランス感に思えるが、それでも「死にゲー」と言われるほどの理不尽さはない。ステージトラップこそあれど、それがきっかけの即死といった事態もほぼ起こらない。落下してもダメージを受けるのみで、死亡することはない。

 基本はランダム生成型のダンジョンを探索しながら戦闘を繰り返し、パワーアップ選択で自キャラクターを強化していく。ダンジョン最奥は決まってボスバトルで締め括られる。アーリーアクセス版では、ゲームクリアまでのプレイ時間はおよそ10時間前後のボリューム感で、登場するボス敵も多くはない。

 代わりにボスバトルは3連戦という構成で、3戦とも異なる行動パターンでプレーヤーを苦しめてくる。死亡すればステージは最初からやり直しにならざるを得ないので、攻撃パターンを頭に叩き込むまで、苦戦を強いられる。

雑魚戦は複数の敵に囲まれるのが当たり前。気を抜くとタコ殴りにされる移動中に出現するレーザートラップ。接触しても些細なダメージを受けるだけで済むボスバトルは行動パターンの異なる戦いを3回連続で行う

 また、本作はキャラクター1人あたりの攻撃バリエーションも多彩とは言い難い。通常攻撃、スキル2種、スペシャルスキル1種の主に3種類で構成されている。スキルはいずれもクールタイムが設けられており、スペシャルスキルは別途発動用のリソースを溜めなければならない。そのため、スキルを使い果たしたら、通常攻撃を中心に立ち回る必要が出てくる。

 一見シンプルすぎるくらいだが、そのおかげでアクションゲームとしては遊びやすいバランスになっている。選べる手段が多ければ多いほどアクションの深みは増すが、求められるプレーヤースキルのハードルは上がりがち。そうした中で主な攻撃手段が3種類に絞られていることで、攻撃リソースを直感的に管理しやすい。シンプルな手数で攻略できる、ちょうど良いアクションゲームと言える。

画面右下のUIが「スキル」2種と「スペシャルスキル」1種パワーアップ効果の中にはスキルのクールタイムを短縮するものもある

 ストーリー性がほぼ排除されたローグライクアクションということで、本作はどちらかというとハードコア寄りのタイトルだと思うが、このシンプルさのおかげで、“アクションゲームの上級者向け過ぎない”手触り・柔軟性がある。

 それは操作上でも同じことが言え、ジャスト回避は比較的入力の猶予がある上、いわゆる「パリィ」のような受け流し要素も存在しない。見た目はシビアなバランスのゲームのようだが、操作系統にひとたび慣れてしまえば、恐らく誰でも軽快に立ち回れるくらいの操作のシンプルさがある。

 さらに補足すると、本作は3人のプレイアブルキャラクターをリアルタイムに切り替えて戦いに臨むという特徴がある。一通りのスキルにクールタイムが発生しても、控えのキャラクターに交代すればそのキャラクターのスキルを継続して使っていける。

アクションゲームとしてはそこまで複雑なプレイフィールではないボスを倒すことで仲間になる3人目の「ヴェクタ」

 合わせて、本作が「上級者向け過ぎない」と言える理由はもうひとつある。それは“恒久的なパワーアップ要素”の存在だ。本作には死亡しても蓄積するリソースがあり、これを使ってステータス上昇をアンロックすることで永続的にキャラクターを成長できる。ひとつひとつは小さな成長だが、まさに塵も積もれば山となるで確実にステータスを伸ばせるので、いつかは突破口が見出せるゲームバランスに仕上がっている。

 この成長要素で得られるのは、自キャラクターの基礎ステータスアップ、パワーアップイベントの出現率増加、ダンジョン内のショップで使用する通貨獲得量を増す、出撃時に装備するキャラクターの初期スキル変更など、だいぶ手広い。ちなみにパワーアップイベント系の効果を取得すると、ダンジョンの構造自体にも変化が現れる。見慣れないエリアが登場するようになり、ほんの少し新鮮な気持ちで攻略に挑める。

リソースを消費してどこから恒久的な強化育成を行うかは自由だショップやボス前に設置されたパワーアップ用装置を使う回数を増やすこともできる連携を模索する醍醐味がある。キャラクターを切り替えながらその真価を引き出す楽しみ

 「モービッドメタル」の戦闘のキモは、プレイアブルキャラクターの使い分けと、キャラクター交代を前提にしたコンボ、戦術といったところだろう。初期キャラの「フラックス」は扱いやすさ重視で、離れた敵の背後を取ったり、無敵時間長めの確定ヒットするスキル攻撃が強力だ。「エック」は広範囲の敵を薙ぎ倒すパワフルな戦い方が得意だが、敵をスタンさせることも可能。「ヴェクタ」は上空の敵、離れた敵に対する遠距離攻撃に加えて、クラウドコントール(敵を引き寄せる、敵の行動抑制するなど)に長けている。

 それぞれの異なるバトルスタイルを基軸として、キャラクターのスキルを組み合わせて使う、または立ち回り方そのものを工夫するなど、自分に合ったプレイスタイルが徐々に定着していく。本作はソロプレイ専用のタイトルだが、パワーアップ選択の強化方針を含めれば、プレーヤーごとにさまざまな戦い方の個性が生まれるのではないかと思う。

 筆者は使用コストが低い「エック」のスペシャルスキルを中心とした戦い方がメインだった。攻撃を1回防ぐバリアのパワーアップ効果を取得し、さらに追加で“スペシャルスキル発動時にバリアを獲得する”といった効果を得ておくと、ピンチの際は「エック」のスペシャルスキルが大活躍する。

瞬間移動や奇襲攻撃のような戦闘スタイルの「フラックス」豪快に戦う「エック」の使用感が個人的には最推し敵を引き寄せたり、吹き飛ばしたりもできる「ヴェクタ」

 「ヴェクタ」の場を制圧するスキルも使っていて面白い。ステージ後半では強力なエリートエネミーが複数登場する場合がある。そんなとき、「ヴェクタ」のスペシャルスキルで周囲の敵を空中に丸ごと浮かせて行動不能にし、「フラックス」で厄介な敵から優先的に処理していく戦い方が定番化していた。

 「フラックス」は単体の敵に特化したバトルスタイルなので、ボスバトルの安定感が高い。スキルもスペシャルスキルも敵との距離を強引に縮められることから、ボスの隙に差し込むような戦いぶりで安全に削れるのだ。また、「エック」、「ヴェクタ」で打ち上げた敵への追撃も「フラックス」が向いている。

 スキル同士の組み合わせ方に関しては、ダンジョン内のパワーアップ効果次第では、新たな使い方の道が開けたり、今まで使いこなせかったスキルの新しい価値を見出せる可能性も高いだろう。一つのスキルと戦術に固執せず、あらゆる可能性を模索していくところも楽しみ方として挙げておきたい。

パワーアップ効果はスキルに追加効果を付与するものもある。ぜひ試行錯誤してほしい流行りの「ローグライト」を主張しすぎず、アクションの副菜とした手堅い一作品

 ここ数年、インディーゲーム市場を中心にローグライトジャンルの普及が目に見えて活発化した。やがてローグライト要素をサブコンテンツに取り入れる運営型ゲームまで登場し、ゲームジャンルとしては定番化・大衆化してきている。さすがにジャンルが持つ鮮度は落ちてきたが、そんな中でも「モービッドメタル」のアクションが際立っており、ローグライク要素はこのアクション部分を引き立てる副菜の役割をこなせているタイトルではないだろうか。

 プレイ時間に比例して上達するプレーヤーの操作練度と、意識決定の基準。アクション×ローグライトの組み合わせがもたらす熟達のプロセスを、今回のゲームプレイではレビュアー目線ではなく、いちゲーマーとして楽しめていた。

 恐らくその理由は、ローグライトとアクションの絶妙な掛け合わせに加え、冒頭で触れた“ナラティブな側面”を割り切っていることも関係していると思う。ストーリーや世界観、キャラクターのバックボーンと心理描写、そのいずれも気にすることなく、純粋にアクションゲームを遊び込んでいたからだ。がむしゃらに突き進み、ひたすらボスを屠るためのビルド構築を試行錯誤していたのが記憶に新しい……。

 本作はアーリーアクセス版のため、人によっては「あれ、これで終わり?」と感じるくらいのボリュームだが、ゲームとしての完成度やまとまりは高い位置にある。およそ10時間前後のプレイ時間で濃密にエキサイトできた手応えはきっと忘れられない体験になるだろう。その点では、多忙な現代ゲーマーにもオススメしたい一作である。ぜひ今のうちから、「モービッドメタル」の潔さに触れていただきたい。

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