
…「魔法のシャボン玉編纂者」「リスのまごころサポーター」「頭脳専門!スーパーひらめき型」
「アリス…この魔法の文字、また増やしたでしょう!?」
——声なき魔女は激しく抗議した。もっとも、その抗議は徒労に終わったが…

◆名前:ニコ
◆称号:心に宿る静寂と喧騒
◆沈黙の「魔女」、声を捨てた「天の使い」
◆神の目:炎
◆命ノ星座:レリクアリウム座

ニコが構想する物語の多くは、「昔々…」という一文から始まる。
もしかすると、一部の作者にとって、それは追及を逃れるための言い訳に過ぎないのかもしれない——なにせ、物語は「昔々」のこと。すでに関係した人も物事も、すべてが煙のように消え去っており、どうあがいても過去を辿ることなどできないのだ。
しかし、ニコの中から、そうした物語が消え去ることはなかった。
昔々、諸国の灯は金糸のように大地を彩っていた。昔々、高天の娘たちは神々の庭と只人の都の間を憂いなく行き交っていた。昔々、暗黒に堕ちた往日の主は未だ災厄を故郷へ持ち帰ってはいなかった。昔々、夜空にはまだ三つの明月が高く輝いていた…
時は留まることなく、月日は絶えず流れていく。楽園の火種は絶望の輪廻の中で生命と共に滅び去り、主に忠実だった従者は主によって創造されし生命のために主に背いた。漆黒の龍王は星々の間より帰還し、銀月の色を纏う車は琉璃の如く砕け散った…
物語は終わることなく続いていた。しかし、かつての読者も聴衆も、すでに去ってしまった。喜びに満ちた物語を書くことを渇望していた天の使いは、かつて彼女を笑顔にしてくれた一切を失い、笑い声さえも失って、一言も発することができなくなった。
ニコの心の中にあった物語は、もう二度と正式に幕を開くことなどないようだった。彼女は数多の「昔々」を胸に抱きながら、大地をさまよい歩き、すべてのものが移ろいゆく光景をただただ眺めていた。
そんなある日、彼女は大きな帽子をかぶった小さな魔女に出会った。誇らしげなつばは天にも届きそうなほど反り返っていた——もちろん今の帽子より、二回りも三回りも小さかったが。
小さな魔女はニコのそばにちょこんと座って、真剣にニコの語る物語に耳を傾けた。カップに注がれた飲み物を飲み干し、袋の中のクッキーを食べ終わるまで、いくつもの物語を聞き続けた。
「じゃあ、あなたってほんとうに天の使いなの?じゃあ、今の物語も全部ほんとう?」
「ちょうどよかった。私は魔女で、あなたは天の使い。ぴったりね。」
小さな魔女は楽しそうに手を伸ばして、「昔々」から歩んできたという天の使いに誘いかけた。
「私の魔女会に入らない?今思いついた名前なんだけど、いい響きでしょ。」
「ねっ?絶対にテイワットで一番おもしろくて、一番すごくて、一番たのしい会になるから!」
「……」
天の使いが声を出すのも待たず——元より声は出せないのだが——小さな魔女は彼女の手をしかと掴み、最後の一粒の飴を握らせた。
「これで、契約成立ね?」
その時のニコにはまだ参加するつもりはなく、「魔女会」が将来どんなものになるのか想像もできなかった。
ただ、少なくとも…
そこは、とても楽しそうな場所のように感じられた。
