※雑誌『WIRED』日本版 VOL.59 特集「Future of Health:生きることの未来」の詳細はこちら。

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寿命が延びれば、「長い時間といかに向き合うか」という問いを避けて通れなくなるはずだ。特集「Future of Health:生きることの未来」の企画会議では、新たな時間軸のなかで生まれる価値観や選択肢を思索するために、『WIRED』で長寿社会を前提としたボードゲームをつくれないかというアイデアも挙がった。

だがそう思った矢先、博報堂100年生活者研究所とタカラトミーが、すでに「100年人生ゲーム」を共同開発していたことを知る。早速、同研究所の副所長・田中卓に開発背景を訊くと、日本人が抱く長寿のイメージは「実態以上に暗い」ことが見えてきた。

田中 卓:「人生100年時代」と言われて久しいですが、日本では長生きに対してネガティブなイメージをもつ人が多いことがデータから見えてきます。

対象者:20〜70代男女。日本:2400名、日本以外の各国:500〜600名。※YESはそう思う、とてもそう思うの合計。単位:%〈博報堂100年生活者研究所調査〉

対象者:20〜70代男女。日本:2,400名、日本以外の各国:500〜600名。※YESはそう思う、とてもそう思うの合計。単位:%〈博報堂100年生活者研究所調査〉

100年生活者研究所は、この課題に向き合うために2023年に設立したリビングラボ。企業や自治体、大学と連携した取り組みのなかのひとつとして、タカラトミーと「100年人生ゲーム」を共同開発しました。研究所が巣鴨にもっていた喫茶店で直接聞いたエピソードや、オンラインコミュニティで集めた声、アンケート内容などをゲームに盛り込んでいます。

「100年人生ゲーム」...

「100年人生ゲーム」
人生の幸福な出来事に注目する力を高めるために開発されたボードゲーム。ウェルビーイングポイント(ウェルポ)を集めながら、幸せな100年人生を疑似体験できる。価値観が変わるマスや、集めた「幸せの記憶カード」(実話)を読み上げ、共感したプレイヤーがいればウェルポをお裾分けしてもらえるマスがある。現在は完売。次の展開を構想中とのこと。©1968, 2024 Hasbro. All Rights Reserved. © TOMY

PHOTOGRAPH BY DAIGO NAGAO日本人が抱く長寿のイメージは、実態以上に暗い:「100年人生ゲーム」が問い直すもの

PHOTOGRAPH BY DAIGO NAGAO

日本人が抱く長寿のイメージは、実態以上に暗い:「100年人生ゲーム」が問い直すもの

PHOTOGRAPH BY DAIGO NAGAO

なぜ日本だけこれほど長寿に対する期待が低いのでしょうか? そこには自分の幸せを表現することを控えがちな日本人の文化的な傾向も影響しているのかもしれません。一方、世界共通の傾向として、幸福度は20代から50歳にかけて下がり、その後60代から80代にかけて再び上昇します。日本も例外ではなく、実際には多くの人が思い込んでいるほど、人生後半は暗いものではありません。

このズレを埋めるために、人生後半の幸せの実感を重視し、ボードゲームの開発に取り組みました。「100年人生ゲーム」では100歳の誕生日をゴールとし、特に75歳以降にウェルビーイングが高まるイべントを多く配置しています。ウェルビーイングは本来、競うものではありませんが、多くの人にゲームとして楽しんでもらうために点数化や勝ち負けも取り入れました。遊んでくれた方からは長寿に対するイメージが変わったという声も多く、わたしもこうした体験や研究を通じて「長く生きたい」と強く思うようになりました。

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