記事のポイント

ニックスはロブロックスの人気仮想高校をジャックし、初の完全統合型ビューティブランドとなった。

ゲーム内体験を通じてブランドと製品を発見できる仕組みを展開し、若年層との接点を築いている。

ブランド発見の主戦場がAIと没入型プラットフォームに移行するなか、ロブロックスを重要な戦略拠点と位置づけている。

ニックスプロフェッショナルメイクアップ(Nyx Professional Makeup)が、ロブロックス(Roblox)の人気仮想高校「ベイサイド・ハイ(Bayside High)」を全面的にジャックし、同プラットフォームへ完全統合を果たした初のビューティブランドとなった。

「これこそが未来のビューティの姿だ。インタラクティブで、コミュニティ主導、そして創造性と楽しさに根ざしている」と、ニックスプロフェッショナルメイクアップUSAのゼネラルマネージャーであるヤスミン・ダスタマルチ氏は語る。

今回のコラボでは、ブランドの新製品「スムーシー・マット・リップバーム(Smushy Matte Lip Balm)」にインスパイアされた「スムーシー・トラックレース(Smushy Track Race)」、デザートとリップカラーを組み合わせる「デザート・ペアリング・ゲーム(Dessert Pairing Game)」、顔用接着剤を探し回る「フェイスグルー・スカベンジャーハント(Face Glue Scavenger Hunt)」、さらにカスタムメイクをデザインし投票する「メイクアップクラス(Makeup Class)」など、ゲームを通じて製品とつながる体験が展開されている。バーチャル報酬として、「モチ・ショルダーペット(Mochi Shoulder Pet)」や「グルーイー・バックパック(Gluey Backpack)」といったアイテムも無料で入手可能だ。

初期の実験から学んだ、何度も来たくなる仕組み

ニックスは2023年からロブロックスでの試験的な取り組みを続けており、アイハートランド(iHeartLand)内に「ハウス・オブ・ニックスプロフェッショナルメイクアップ」を開設したほか、ウルタバース(ULTAverse)のハロウィンイベントへの参加や「ゲームアウトラウド(Game Out Loud)」でのプライド月間のお祝いなどを行ってきた。これらの試みから、ユーザーが何度も足を運ぶ仕組み作りについて多くを学んだという。

「人々が時間をかけて楽しめる没入体験を作ることが重要だ。何度も戻ってきて、楽しんで、共有する。そうやって店舗に足を運んだり、ブランドについて話すとき、この体験が心に残る」とダスタマルチ氏は語る。

この取り組みの背景には、ビューティの発見の場が従来のソーシャルフィードから、よりインタラクティブでAIに支えられた空間へと移行しているというトレンドがある。AI搭載のショッピングエージェントが、若年層の購買行動に影響を与え始めており、個別化されたガイドとして混沌とした市場のなかから最適な製品を提示している。ブランドは、検索というより「遊び」に近いかたちで発見が行われる場所で、消費者と出会おうとしているのだ。

若年層との最初のブランド体験をロブロックスで設計

ロブロックスは2025年に月間アクティブユーザー数3億8000万人、日間ユーザー数8500万人以上を記録し、平均セッション時間は2.5時間を超える。エンゲージメント時間も前年比30%増加した。ユーザーの60%以上は16歳未満だが、もっとも成長が著しいのは17〜24歳の層であり、ブランドにとって「初めてのブランドとの出会い」を演出する場として、自然な選択肢となっている。

今回のベイサイド・ハイ・キャンペーンでは、ゲーム内でのショッピングは行われておらず、あくまでブランド認知を目的としている。ダストマルチ氏が「360度アプローチ」と呼ぶ戦略にもとづき、TikTokやメタ(Meta)、ロブロックスの公式チャンネル、CRMによるアウトリーチに加え、ニューヨーク市内でのスムーシー・ミニ・マート(Smushy Mini Mart)」ポップアップといったリアルな体験も組み込まれている。

「我々のコミュニティが存在する場所に出向くことが大切だ。いまそれはロブロックスのようなプラットフォームであり、同時に一対一のリアルな体験でもある」とダスタマルチ氏は述べている。

AIとプラットフォームの進化が「発見」の形を変える

ロブロックスのようなプラットフォームやAI駆動型の発見ツールがによって、ブランド発見がキュレーションされ、インタラクションする方法は再定義されている。検索が会話のように行われるようになった今、ユーザーがすでに時間を費やしている空間での接点こそが重要になっている。2025年第1四半期のロブロックスの日間平均ユーザー数は前年比26%増の9780万人。このような没入型プラットフォームの存在感は、今後も増していくだろう。

「我々はデジタルネイティブでソーシャルファーストなブランドであり、常にテストと学びを実施してきた。ロブロックスは、我々の消費者が存在する場所であり、創造的で協調的、かつ楽しい方法でつながることができる貴重な手段なのだ」とダスタマルチ氏は言う。

ベイサイド・ハイのジャックは8月29日まで実施されており、プレイヤーはインタラクティブで、アルゴリズムによってさらにAIでキュレーションされた、まさに新時代のビューティ体験を楽しむことができる。「ぜひゲームを遊んでほしい。楽しめるし、運がよければモチ・ショルダーペットを手に入れられるかもしれない」とダスタマルチ氏は締めくくった。

ニックスを保有するロレアル(L’Oréal)の2024年通期売上高は434億8000万ユーロ(約470億6000万ドル、約6兆9170億円)で、2025年上半期の売上高は224億7000万ユーロ(約243億ドル、3兆5720億円)だった。

[原文:As AI changes discovery, Nyx Professional Makeup doubles down on Roblox for brand awareness

ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳・編集:的野裕子)

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