夏休み真っ盛りの2025年8月上旬。ソーシャルプラットフォーム「Roblox」を使った発表会が都内で行われた。

会場は角川ドワンゴ学園が運営するN高グループの校舎。この発表会は、同校の高校1~3年生が参加した4日間にわたるワークショップの成果発表会だ。ワークショップでは、同校の夏の特別ワークショップに自ら
志望して参加した13名の高校1年生が、Robloxの開発ツールであるRoblox Studioを使い、ゲームづくりを学んだ。

Robloxは、無数にアップロードされた3次元のエクスペリエンスと呼ばれるバーチャル空間を毎日1億人以上が遊ぶ、巨大なゲームプラットフォームであり、ソーシャルプラットフォームでもある。そしてその半数以上はα世代と呼ばれる一桁から10代のユーザーたち。個人がコンテンツを作ってアップロードし、そして販売までできる。

成果発表会では代表して4名の生徒が作ったエクスペリエンスを発表した。今回、テンプレートで提供されたのは、いわゆる「Obyy」(障害物レース)と呼ばれる、色々なアクションを組み合わせたアクションゲームだ。

生徒たちが発表したコンテンツはどれも個性が光るものだった。ある生徒は「飽きさせないためのギミック」にこだわり、ある生徒は「世界観を感じられる雰囲気にするために」淡い優しい色で統一された世界をつくり、ある生徒は「メトロイドヴァニア(2Dアクションゲームの1ジャンル)」がこよなく好きだから、三次元のRobloxでは奥行き感のある2Dアクションゲームを作っていた。


(奥行きのある2Dアクションゲーム「宝石物語-Jewel Story-」日本発の伝説的な名作フリーゲーム「洞窟物語」へのリスペクトから名称が付けられた)

今回の取組を企画したのは、Robloxの日本におけるパートナーである電通とRoblox関連の制作やプロジェクトを行っているGeekout株式会社だ。講師としては、GeekoutのゲームスタジオGeekout Studioに所属する海外出身の現役Robloxクリエイター2名がつき、ツールの使い方からプログラミングの
サポートまで担当した。


(講師を担当した、ダレル・グエン氏(左)、アンソニー・クラウディ氏(右))

ゲーム開発経験はほぼない生徒たちだったが、格闘しつつも楽しんで体験設計と実装するためのプログラミングを学んだ4日間になったようだ。

Robloxは北米圏をはじめ、α世代(※2010年代以降に生まれた世代)に高いシェアで広がっている。日本でもユーザーが増えていることが明らかになっているものの、その広がりは北米圏ほどではない。

それでも、今回参加した高校1年生たちに話をきいたところ、Robloxを知っていたのは13名中8名と全体の6割程度。そしてRobloxで遊んでいるユーザーは2名と1割程度に留まった。20代以上の大人の世代に比べれば、知名度があがり、実際に遊んでいる人たちもいることは、Robloxが日本でも10代の間で広がりつつあることを示している。

プログラミング教育が義務教育に組み込まれた2020年から5年が経った。Minecraftを使った教育教材やプログラミングスクールが多い中、新たなプラットフォームとして、Robloxを教育ツールとして使う選択肢も現れている。

Mogura VRでも2022年夏のRoblox特集で当時プログラミングスクールでRobloxを扱っていた「D-SCHOOL」(現・デジタネ)に取材を行ってる。

プラットフォームであるRoblox自身もRobloxを教育の現場で活用することを支援しているが、どうも「プログラミングの延長を学ぶ」だけにとどまらない、様々な教育の可能性を秘めているように感じられる。

Robloxではバーチャル空間だけでなく、アバターやアバター用のファッションアイテムを販売することができる。N高でのワークショップを展開した電通とGeekoutは、2024年度からファッション系の専門学校・文化服装学院にて「デジタルファッションプログラム」を展開している。

さらに、Roblox自身は学習現場でのRoblox Studioの活用だけでなく、参加型学習の場として、学習用のバーチャル空間構築の支援も行っている。最近、学習用のエクスペリエンスを集めた「Learning Hub」を公開し、学習用コンテンツを集約し始めている。


(Robloxのアプリの中で「その他」→「学ぶ」からアクセスできるLearning Hub)

今回、参加した学生からは「これまでゲームをプレイする側だったが、作る側を経験することで、これから遊ぶときに作る側の新しい視点が身についた」という声が上がった。


(ワークショップに同席していたRoblox Japanの辻潤一郎氏)

Robloxは数あるプラットフォームの中でも、「AIがツールの中に組み込まれていて制作のハードルが低い」、「マルチプレイのコンテンツをすぐに誰にでも公開できる」、「全世界への公開やマネタイズなど“クリエイター側に回ることが容易い」などの特長を備えている。

今回、N高グループの生徒たちが作成したRobloxのエクスペリエンスの一覧 Roblox

今回のN高グループのワークショップでは、ゲームを作るという側面にスポットライトが当たっていた。しかし、テクニックを学ぶだけでなく、探究学習に近い「考えさせる教育」や「クリエイターを生み出す教育」といった活用方法もRobloxなら可能だ。私教育だけでなく学校教育でRobloxが使われることによる可能性にも着目すべきだろう。

未成年ユーザーが多く、ユーザー保護やコンテンツの著作権処理など抱えている課題を解決し、「きちんとしたプラットフォーム」を目指すRoblox。さらに多様な教育の舞台になることに期待したい。

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