記事のポイント
ロブロックスは若年層に巨大な利用規模を持ち、アバター行動や検索データがリアルタイムの小売シグナルとして可視化されている。
仮想ワールド投資に踏み切らないブランド向けに、体験内リワード動画広告が主要な参入手段として存在感を高めている。
ロブロックスは直接的な販売よりも、Z世代の文化や美意識を読み取るテスト市場として、ブランドの注目を集めている。
この1年で、ロブロックス(Roblox)はブランドにとって無視しがたい存在になった。デジタルコマースの課題を解決したからではない。若年層の消費者がすでにこのプラットフォームを圧倒的な規模で利用しているからだ。現在、ロブロックスの1日あたりのアクティブユーザー数は1億5100万人に達し、ユーザーは体験内で1日あたり約3時間を過ごしている。これは2025年で、年間880億時間以上のエンゲージメントに相当する。
同時にロブロックスは、小売行動がリアルタイムで可視化される場所としての位置付けを強めている。12月16日に公開された同社の「2025 リプレイ(Replay)」レポートによると、ユーザーは1日あたり5000万回以上の検索をプラットフォーム上で行っている。その多くは特定のゲームに紐づくものではなく、発見主導型の検索である。たとえば「ロールプレイ」「ホラー」「ダンス」といった広いテーマやアクティビティを探している。とくにアバターに「動き」の機能が追加されて以降、その傾向は顕著だ。
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また、ユーザーは1日平均で2億7400万回もアバターを更新している。これは、アイデンティティやスタイル、自己表現がどれほど頻繁に試されているかを示している。Z世代にとって、こうした行動はますます実店舗での買い物と結びついている。レポートによれば、84%が「現実世界のスタイルは自分のアバターに影響を受けている」と答え、88%が「実物の服を購入する前にデジタルファッションで試している」と回答している。
ファッションを超えて広がるブランド実験
この成長により、プラットフォーム上で実験を行うブランドの種類も広がっている。ただし、その多くは依然としてテスト&ラーニングの段階にある。ロブロックスでグローバルブランドパートナーシップ担当バイスプレジデントを務めるステファニー・レイサム氏は、デジタル商品を販売するブランドについて「今やファッションだけにとどまらない」と語る。
「小売業者や自動車メーカー、サムズクラブ(Sam’s Club)がロティサリーチキンの頭やトイレットペーパー型のアバターを提供する一方で、アディダス(Adidas)のような従来型のアパレルブランドは、カスタムのサッカージャージを提供している」と同氏は述べた。
仮想空間に投資しないブランドの受け皿としての広告
オーダーメイドの仮想ワールドやデジタル商品ドロップに投資する意思のないブランドに向けて、ロブロックスは活動の軸を広告へと移しつつある。同プラットフォームの主力広告フォーマットは「リワード付き動画広告」で、ユーザーがすでに滞在している体験内で配信される。ユーザーは、ゲーム内通貨やパワーアップ、見た目を変えるアイテムと引き換えに、動画広告を視聴することを選択する仕組みだ
「我々の広告のほとんどは体験内で配信されている。そこがユーザーがもっとも多くの時間を過ごしている場所だからだ」とレイサム氏は語る。「ユーザー視点では、体験にとってプラスになるものであることを重視している」。
この構造により、ブランドはロブロックス専用の素材をゼロから開発せず、既存のクリエイティブを再活用できる。とくにトラフィックの多い環境が、このアプローチで重要性を増している。今年もっとも検索された体験には、ブルックヘブン(Brookhaven)、グロウ・ア・ガーデン(Grow a Garden)、スティール・ア・ブレインロット(Steal a Brainrot)が含まれ、最初の2つではリワード動画広告が利用できる。11月には、映画『ウィキッド(Wicked)』の公開に合わせて、ユニバーサル・ピクチャーズがブルックヘブンに登場し、すでに高いアクティビティを誇るオーディエンスにリーチした。
都市や住宅街といった日常的な社会環境を模したブルックヘブンは、実店舗型の小売コンセプトを試す場にもなっている。「ポップアップストアや看板など、本当に自然な形で統合する方法がある」とレイサム氏は述べた。
衣服や環境に加え、「動き」はエンゲージメントを牽引する重要な要素として浮上している。ロバックス(Robux)で提供されるエモートやアバターのアクションは検索行動を変え、「ダンス」のような動詞をマーケットプレイス検索の上位に押し上げた。
これまでのところ、ロブロックスにおける動きベースの表現は、小売ブランドではなく、エンターテインメントやクリエイターのIPが主導してきた。レディー・ガガやチャーリー・XCX、さらにはスクリラのようなバイラルクリエイターが、ブランド化されたダンスや振り付けを導入し、動きをファンダム主導の自己表現へと変えている。小売ブランドも技術的には参加可能だが、多くはそれをコマースの手段として採用する前に、動き主導の表現がどのように進化するかを見守っている段階だ。
安全性を前面に出すロブロックス
ブランド参加が増えるにつれ、安全性はロブロックスの訴求のなかでより明確な要素となっている。過去6カ月間で、同社は顔認識による年齢推定を導入してコミュニケーション機能に制限を設け、年齢に応じたチャット規制を強化し、体験全体にコンテンツ成熟度ラベルを拡充した。
さらに、テキストと音声の両方でAIと人によるモデレーションを重ね、保護者が子どもが誰と交流できるか、どのコンテンツにアクセスできるか、どれだけの時間を過ごすかを、より細かく管理できるようにしている。世間や規制当局の注目が高まり、広告主が明確なガードレールを求めるなかで、同社はモデレーションについてより積極的に語るようになっている。
小売ソリューションではなく「文化シグナル」
ロブロックスがブランドに提供する価値は、単一の小売ソリューションというよりも、文化のシグナルにある。たとえば「67」や「Kポップ・デーモン・ハンターズ(K Pop Demon Hunters)」といった瞬間的な検索急増やエンゲージメントを追跡することで、Z世代の間でどのミームやファンダム、美意識が勢いを増しているかを、ブランドはいち早く把握できる。
こうしたインサイトは、定期的なレポートや直接のブリーフィング、メディア配信に紐づくパフォーマンスデータを通じて、ブランドや代理店パートナーに共有される。そしてそれらは、媒体配置の判断、クリエイティブの形づくり、次に関与すべき文化的瞬間の選定に、ますます活用されている。
「ロブロックスは、もっともダイナミックなテスト市場としての地位を明確に確立した」とレイサム氏は語る。「文化がどこへ向かっているのかを最前線で見ることができる」。それらのシグナルが一貫して実店舗の成果に結びつくかどうかは、ブランドやカテゴリーによって異なるものの、プラットフォームの規模そのものが、より多くの小売業者に注目を強いている。
「我々はブランドがビジネスインパクトを生み出す手助けをしたい」とレイサム氏は語る。「ただし、それはユーザーにとって押し付けがましくなく、クリエイターにとっても価値を付加する形で実現したい」。
[原文:Why brands are still showing up on Roblox]
ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳・編集:的野裕子)
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