ベタな筋肉映画をリメイク

『ランニング・マン』というタイトルを聞いて、頭にはてなマークがいくつも浮かんだ。1987年公開のアーノルド・シュワルツェネッガーが主演した『バトルランナー』のリメイクである。なぜ今になってこんな企画が進められたのだろう。しかも、監督は『ベイビー・ドライバー』のエドガー・ライトだという。センスのかたまりのような才人で、ジャンルを丸ごと進化させる作品を連発して高く評価されている。ベタなアクション映画を選んだ理由がわからない。

この機会に『バトルランナー』を配信で観なおし、原作小説を読んでみた。不安は吹き飛んだ。やはりエドガー・ライトの才能は卓越している。原作を忠実に映像化し、しかも込められたメッセージをアップデートして伝えることに成功した。

当時は面白がっていたのだが、『バトルランナー』はあまりにも雑なつくりである。1980年代は筋肉祭りアクション映画が全盛で、シュワちゃんのほかにもシルベスター・スタローン、チャック・ノリス、ジャン=クロード・ヴァン・ダムといった肉体派スターが大人気だった。彼らは神がかった強さを持っていて、ワルモノどもをいとも簡単に皆殺しにする。敵がマシンガンを撃ってきても絶対に弾は当たらない。超人なのだ。

正義のためなのかもしれないが、あまりにも過剰な暴力を行使する。相手を殺す際に、気の利いた言葉を発するのがお決まりだった。

「お前は最後に殺すと約束したな……あれはウソだ」

「これはゴミの片付けだ。俺は掃除屋だ」

いくらなんでもひどい言い草だと思うが、観客は喝采していた。コンプライアンスなんて、誰も気にしていなかった時代である。


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